ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
Menu
背景
文字サイズ
現在地

本文

掲載日
2016年2月2日更新

1/6 人と石とのかかわり(1) 食べ物と石

年末年始で皆さんおいしいものをお食べになったことでしょう。今日は食べ物にまつわる石のお話をします。

【焼肉と石】

ご存知のとおり、焼肉と石は仲良しです。最近は焼肉用やビビンバ用の意志の器が身近に手に入るようになり、楽しんでいらっしゃる人もいることでしょう。私も年末に買って試してみました。説明書きを読むと、韓国南西部の長水というところで産出する石を加工してなべを作る、埋蔵量が少なく険しい高山地帯であるので採石が容易でなく、採石・運搬・加工と人手に頼らざるを得ないとか。石としては閃緑岩に見えますが、長水で取れるので長水石と呼ばれているようです。日本では角閃石製のと銘打ってあるものが多いようです。角閃石は鉱物の名前なので、厳密にいうと「角閃石製」というのはおかしいのですが・・・しかし確かに角閃石の黒い柱状結晶が目立つ石です。
耐熱性に優れているのでなべとして使うようになったらしいですが、

  • 熱を伝える力がほどよいのでじっくり温まる。だから焦げ付きにくく硬くもなりにくいので、おいしいしお手入れも楽。
  • 保温性がいいのですぐには冷めない。
  • 遠赤外線効果がある

といった利点があるようです。確かにおいしかったです。フライパンと違ってやわらかい感じがし、水につけはしましたが比較的焦げ付きも取れやすいようです。

【石焼芋】

この間焼き芋やさんの車を見せてもらったところ、タンス型の釜が載っていました。下部にコンロを入れて火をたき、その上の引き出しに小石を敷き詰めてお芋を焼いていました。そのおじさんによると2時間は焼いて仕上げるそうで、このじっくりさ加減が甘味につながるのでしょう。ほかにもネットで検索したら、ドラム缶と小石、炭を使って学校祭で好評を得た例もありました。
ほかにも石で焼く料理はあるし、昔から使われてきた生活の知恵なのですね。

▲ページトップヘ
▲迷走記タイトルヘ

 


1/13 人と石とのかかわり(1) コンクリート

【コンクリートの材料】

改めて「コンクリートってなに?」と聞かれると困りませんか?セメントと水を練っているとコンクリートになるようですが、じゃあセメントって何でしょう?
コンクリート(もっとも普通に見られるセメントコンクリート)は、水・セメント・骨材からなります。骨材とはコンクリートに入っている砂利などです。骨材をくっつけているのがまわりのセメント部分で、水で練って使います。

【骨材】

私は砂利が入っているのがはっきりわかるコンクリートを見ると、必ず思い出すエピソードがあります。Aさんが若い頃の話です。Aさんはある日地質実習に出かけました。すると先生に近くの石を指差され、何の石かと聞かれたのです。Aさんはいろいろ考えた末にレキ交じりの砂岩と答えました。そして先生の答えは・・・「ばか、コンクリートだ!」。
このように、コンクリートには砂利などの固形物が入っています。これが骨材です。骨材は川の砂利や砂を使うことが多く、道内では石狩川や十勝川ほかの川で採取されてきました。しかし川砂が減ってきたので、山や海などの砂利や、岩石を人工的に砕いたもの、溶鉱炉から出る不純物などをいろいろなものを骨材として使っています。

【セメント】

骨材をつなぐのがセメントです。石灰石が主成分で、これは日本各地でいいものがたくさん取れます。ほかに粘土なども加え、必要な化学成分になるよう混ぜ合わせてから焼きます。1,450℃という高温で焼かれますが、こうすると石灰石が分解して二酸化炭素ができ、40%以上逃げていきます。焼いた塊に少し石膏を混ぜ、砕くとセメントができます。

【水】

水はかかせません。セメントはいわばゲル状に固まる仕組みになっています。均質になるよう混ぜるのは結構大変なので、よほど少量でない限り普通は機械を使います。
実はセメントと水だけ混ぜても十分に硬くなるのです。そこにわざわざ骨材を混ぜるのはやはりわけがあり、

  • セメントだけだと縮みやすくてヒビがたくさん入る。
  • セメントは高いのでなるべく使用量を減らしたい。

ということのようです。
セメントの起源は古く、9,000年前のものも残っています。石膏や石灰岩を焼いてから水で溶かすと、そのうちまた固まってくることを利用したらしいです。焚き火のあとにでも発見したのでしょうか。

▲ページトップヘ
▲迷走記タイトルヘ

 


1/20 人と石とのかかわり(1) 粘土と化粧品の関係

粘土もさまざまな場面で利用されています。たとえば、

  • やきもの
    古くは土器に始まるやきもの。鉄分などの不純物の量、焼く温度によるしまり具合(吸水性)の違い、などから、陶器・磁器などに分類されます。

  • カラーの図を打ち出すときに使う高級紙。このような紙を燃やすと灰が多く残りますが、粘土がたくさん含まれているのが原因です。

ほかにも医療分野で使われたりと、非常に範囲が広いものです。今日はその中から化粧品を紹介します。

【化粧品】

私が最近使っている基礎化粧品は、その名も「粘土の○○」シリーズ。これがべたつかずになかなかよいのです。なんだか顔が白くなったような気までしてくるし、本人はそれなりにいい気分で使っています。これはある意味当然の感想でもあるのです。粘土の特徴を説明してみましょう。

【吸着力】

粘土は皮膚の汚れや老廃物を吸い取ってくれます。この機能を十分に生かしているのが石鹸やパックです。粘土鉱物やそのグループ名のうち、スメクタイトというのはギリシャ語の「石鹸」、サポナイトは「石鹸の石」という意味です。サポナイトは日本でも「石鹸石」と呼ばれました。

【吸着力の原因】

吸着力の原因は粒子の大きさとその構造にあります。粘土は細かな粉末(2μm以下)です。これは最近やウィルスに匹敵する小ささです。さらに、薄いシートが積み重なったような構造をしています。だから表面積がたいへん大きいのです。モンモリロナイトの場合、シートを広げたとすると小匙半分程度の量でテニスコート3面分にもなります。粘土は表面エネルギー(表面張力)が大きく、パワフルな状態です。ほかの物質を引き込んで吸着してしまうのです。
あるいは電気的な要素もあります。粘土は構造上弱いマイナス電気を帯びています。シートの間にこれを補うように陽イオンをはさみこみます。この影響で、水分や油分を引き寄せるのです。

【保湿力・・・膨張性を生かす】

先ほどの話のとおり、モンモリロナイトはシート状に重なっている鉱物です。このシートの間には、シートがばらけてしまうほど多くの水分を抱え込むことができます。吸い込めるのは水分に限らず、油分などの有機物も含まれます。ハーブエキスやオイルなど、肌にいい保湿成分を加えることができるのです。

【よく伸びる&膜を作る】

モンモリロナイトは水を含むとクリーム状になり、薄く延ばしやすくなります。これが乾くと薄いフィルム状の皮膜になるので、肌を保護してくれます。

【その他】

具体的に色や光沢をつけるなど、直接的な目的はもちろんあります。つけたら気持ちがよいという、マイナスイオンの効用?もあるのでしょうね。

▲ページトップヘ
▲迷走記タイトルヘ

 


1/27 人と石とのかかわり(1) お墓と御影石

【神戸市の御影】

私の実家は神戸市の御影というところです。御影石の名をご存知の方も多いでしょうが、あのあたりで切り出していた花崗岩についた名称です。御影石町、御影町石屋、石屋川などの地名からも様子がうかがえます。御影石とは地質学的には花崗岩を指します。六甲山は花崗岩の山で、ふもとのグランドなどもかなり白っぽくてまぶしかった記憶があります。神戸にいた頃、お墓の石は花崗岩を使った白っぽいものが多かったです。

【墓石の地域性】

ほかの地域を見てみると真っ黒い石が目に付きます。なんでも、従来は「黒御影は東日本、白御影は西日本で好まれる」傾向があったそうです。墓石に使われるのは、花崗岩と安山岩が多いようです。このうち安山岩は、含まれる鉱物によって白っぽいものから黒っぽいものまで幅広いです。また西日本は花崗岩が広く分布するので、使いやすくもあったのでしょう。しかし現在は地域差もなくなってきているように見えます。
黒御影、青御影とよばれる石がありますが、

  • 黒御影 花崗岩と同様に鉱物の粒が大きいが、黒っぽい鉱物が多いために黒っぽく見えるはんれい岩や閃緑岩。
  • 青御影 黒御影と御影の中間くらいの化学組成を持つ石英閃緑岩。
    をさしています。

【御影の名の由来・・・ついでに】

ついでに、御影は古い町名なので起源がいろいろあるようです。ヤマトタケルノミコトの第二王子のお后さまが、ここを通ったときに沢の井という泉(現在の阪神御影駅近く)に立ち寄りました。泉に姿がとても鮮やかに映されたので御影の名になったという説があります。

【北海道の御影】

北海道にも清水町に御影という地区があります。ここも御影石が分布することから名前がついたようです。このへんの山側には花崗岩がかなり広く分布しているのですが、厚い表土や扇状地に覆われていたり、風化が深部まで進んでいたりして新鮮な露出は少ないです。このためかなり以前から採石されているものの、それほど大規模ではないようです。

▲ページトップヘ
▲迷走記タイトルヘ