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掲載日
2016年2月2日更新

 日高町千栄(ちさか)地区から林道を入ったところに、「チロロの巨石」と呼ばれる石があります。


チロロの巨石の写真(やや長径方向から撮影。林道から見ると横長な石。)

【館内説明】

栗林元次郎氏(1896~1977)は、1919年開拓団長として十勝に入植しました。1930年八紘学園を設立し初代理事長となり、以来海外開拓に活躍しました。
鉱石収集を趣味とし、1965年頃から日高山脈の銘石を掘り出すために日高町千栄地区に通いました。特にペンケユクトラシナイ沢から200tにおよぶ巨石をとり沢口まで運びましたが、それ以降は運ぶことができませんでした。その石は日本一の巨大な結晶片岩として今に知られています。

【地質学的に】岩石名=石英片岩

ここでは長径6mほどの大きな転石が見られます。やや青みがかったこの岩石は、石英片岩です。岩石が高圧下で変成作用を受けてできた変成岩です。
一定方向に割れやすい片理面や、これが複雑にうねる微褶曲構造が見られます。もとの岩石は一様なものではなく、白っぽくて堆積構造の見える部分は泥岩に、青っぽい部分は砂岩に由来すると思われます。また、緑色がかった玄武岩片も含まれています。

・・・できかた・・・

  1. 海底に噴出した溶岩が急冷され、ばらばらに壊れながら冷え固まる。このような石はハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)と呼ばれる。
  2. ハイアロクラスタイトがさらに壊れて、海底の砂や泥の中に堆積する。
  3. 砂や泥も含めて全体が地下に埋没し、高圧変成作用を受けた。

このような岩石は神居古潭帯の蛇紋岩中に見られ、チロロの巨石も蛇紋岩中から運び出されたものであると思われます。