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2001年5月21日(月曜日)
講師:横須賀邦子さん(NPOアース・ウィンド代表、日本山岳ガイド連盟公認ガイド)
北海道の豊かな自然を象徴する存在であるヒグマは、付き合い方を間違えると人クマ双方に重大な不利益を生じます。どうしたらお互いに気持ちよく暮らしていけるでしょうか?クマ対策の先進地である北米で作られたビデオ(英語版)を見ながら、解説を加えていただきました。
たいへん多くの方にお越しいただきました。
唐辛子入りのスプレーの説明をする横須賀さん。自らの生々しい体験もたくさん語ってくださいました。
ビデオは・山道を歩く時の注意は?・遠くにクマを見つけた場合はどうするか?・もっと近い場合は?など、非常に具体的に作られていました。その他横須賀さんがお話くださった内容から、注意すべき点について一部ご紹介します:
嗅覚は人間の4万倍。おすしの入っていた容器、コーヒーの空き缶などでも、1km先から匂いをかぎつけられます。埋めても簡単に掘り返します。生ゴミ、空になった容器含め、必ずゴミは持ち帰ること。
山頂でバーベキューをするなど、匂いの強いものは上記と同じ理由からです。魚を釣ってはらわたを処理した場合も、そのあたりにほったらかさずに流れの強いところに流したり持ち帰ったりが必要です。
基本的に自分の寝るそばには食べ物を置かないこと。調理場は150m、食事場所は200m離れた見通しの良い場所を選びます。基本は全部おなかに入れてしまうこと。どうしてもそばで食物を保管する必要があるときは、二重三重にくるんで。
女性の生理用品では、タンポンがお勧めとのことです。使用後は密封して持ち帰ること。ジップロックなどの密封できるビニール袋がお勧めです。
新しいものか古いものか判断できなかったら、新しい痕跡だと考えること。
ミズバショウやオオブキ、セリ、クレソンなどの草木類のほか、アリ、ハチ(ハチミツ)も大好きです。樹がひっかかれていたり、岩をひっくり返したような跡があればクマがエサを探しています。
クマにこちらの存在を知らせるにはクマ鈴、ホイッスル、拍手などいろいろな方法があります。いちばん注意をひいたのは人の話し声だったそうです。ラジオは調子が一定になるのでいまいちとか。複数でおしゃべりしながら出かけるのが良いでしょう。
人と同じようにクマにも個性があり、万能な対処法はありません。まずはパニックにならないで様子を見ること。一つだけ、後ろを向いて走って逃げることだけはしないように。習性として追いかけてきます。
こちらに突進して来てもブラフチャージ(おどし)の場合があります。ブラフチャージかどうかは残念ながら見分けられません。
対処例をいくつか・・・
死んだフリをするときはなるべく地面に丸くなって首の後で手を組みます(保護する)。何があっても手を解かないように。危険な場合もあります。
スプレーは、4-5mの距離まで近づいたら目をめがけて発射します。怒っていると効き目がないこともあります。
本当に本気で襲ってくる場合(見極めは非常に難しい)は、ナタで応戦することも必要。紐で手首に巻きつけておくこと。
いずれにしても、このような事態にならないように対策することのほうが重要です。
突進してこられて腰を抜かしたけれど幸いブラフチャージだったお話、など、非常に印象的でした。
今回のセミナー参加者=39名(全員大人でした)、
講師=1名、スタッフ=1名。