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第4回 動物注意!ヒグマ

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北海道の豊かな自然を象徴するヒグマは、日本に住む動物の中で一番大きな陸上動物です。ヒグマが住んでいるのは豊かな自然の現れ。でも間近で会わない方が身のためです。
今回は、事故を起こさないための心得を重点的にお伝えします。ただし「これだけ気を付けていれば安全」ということではありません。注意事項を参考にして、できるだけ遭遇しないよう、危険な目に会わないよう、心がけてください。

大きさは?

クマと人の大きさの違い

クマによってまちまちですが、オスで体長2~2・8m、体重は150~300キログラムです。オスはメスの2~3倍の大きさになります。あまり大きくない場合、車から100m以上も先に四つんばいでいたりすると「大きな犬がいる」と思うこともあります。

ヒグマのあるく道

日頃彼らがよく歩くところに獣道ができますが、林道も歩きやすい道になる場合があります。お互いに認識しづらい林道の曲がり角で、ヒトとクマが鉢合わせになったという話も聞きます。

エサは?

エサを探すクマ

草、果実、木の実などの植物性のものを主に食べ、春はフキなどの草本類、秋はドングリ・ヤマブドウ・コクワなどの木の実をたくさん食べます。イチゴやアリ、ハチ、エゾシカ、さかな、ザリガニなども食べることがあります。

クマとヒトではどちらが早く走れる?

クマの方がずっと早く走れます。時速50km(100mを7秒ちょっとで走るスピード)は出せるといわれています。

北海道では、山や森に入ればそこはヒグマの領域です。

事故に出会わない一番の方法はクマに会わないことです。

ヒグマとの事故をなくすために!

出没情報に気をつけましょう。

山に入る前に出没情報を集めておきましょう。

  • 新聞やテレビ
  • 地元の人の話
  • 役場、森林管理署の情報

などが参考になります。

歩きながら音をたてましょう。

クマは人間が来たとわかるとさけるものです。ヒグマの聴覚&嗅覚はヒトよりずっと鋭いです。

  • なるべく複数で出かけて、おしゃべりしながら歩く
  • 鈴などをつけたり、手をたたいたりする
  • 大声で「人が来ていますよ」などと声をかける
  • うたを歌う

しかしイヌを連れての立ち入りは、ヒグマを異常に興奮させることがあるので危険です。

周囲が見にくい時の行動はやめましょう。

明け方や夕暮れ時、濃霧、雨降りのときは、あたりのようすが見えにくいので危険です。また早朝や夕方はヒグマの活動が活発になりますので、その時間帯の行動には細心の注意が必要です。
ヒグマの視覚はそれほどよくありません。

クマの足あとなどを見つけたらすぐにひきかえしましょう。

このような痕跡があったら、まだ近くにいる可能性が高いです。すみやかにその場を離れましょう。

  • 生々しいフンがあった
  • 行きになかった足跡が帰りにあった
  • 草などが食いちぎられていたり、転がったような跡があった
クマの足跡
ヒグマの糞

エゾシカの死体に近寄らない。

冬眠明けのヒグマは、冬期に死亡したエゾシカを食べます。山中でエゾシカの死体を見つけたら、あまり近寄らずにその場を離れてください。

ゴミは「必ず」「すべて」持ち帰りましょう!

お弁当などで、あまり匂いの強い食べ物はヒグマを引き寄せる場合があるので避けた方が賢明です。
そして食べ終わったら、食べ残し・生ゴミ・食べ物が入っていた容器を絶対に捨ててはいけません。埋めてもすぐかぎつけます。残飯やキャンプの食料などは、クマにとってたいへんなごちそうです。一度味をしめるともっとほしくて何度でもやってきて、ついには人を見ても逃げずに近づいてくるようになります。
このようなクマは危険なクマとして殺されて(駆除されて)しまいます。なにより、次に訪れる人たちを重大な危険にさらすことになるのです。

ヒグマの食物とゴミ
1991~1993年度に全道で捕獲されたヒグマ211個体の胃袋を分析した結果、12・3%に当たる26個体からゴミ類が出現しました。
上ノ国町での調査
違法な水産廃棄物へ5km離れた地点からクマが1日でやってきて、20日間居ついたことがあります。

子グマを見かけても、ぜったいに近づいたりエサをやったりしてはいけません。

必ず近くに母親がいます。子グマにかまうのは自殺行為です。

遠くにクマを見つけたら、様子を見て行動しよう。

普通はクマの方で気がついて立ち去ります。とにかくこちらがパニックに陥らないことが大切です。

クマがこちらに気付いていないようだったら

そっとその場を離れましょう。

こちらに気づいていたら

クマの移動する方向を見定めながら静かに立ち去りましょう。
騒いだり走って逃げたりするのは、クマを刺激するのでたいへん危険です。

それでも近づいてきたら

  1. クマの目を睨み続けてください。
  2. そしてクマの動きを見ながらゆっくりと後退してください。

このときリュックや服などの持ち物をそっと置くと、クマの気を引いて時間を稼げます。間違っても荷物を回収しようと思ってはいけません。自殺行為です。

万が一襲いかかられたら

子グマを連れた母グマ、手負いのクマ、人の食べ物の味を知ったクマなどが襲ってくる可能性も、残念ながらゼロではありません。

致命傷を防ぐポーズ

北米では、図のように首の後ろを手で覆い、地面に伏して致命傷を防ぐ方法を勧めています。

クマよけスプレー(登山用品店などにあると思います)がある程度有効であることも知られています。ただし完全に命中させなくては意味がありません(遠くからスプレーしてもだめ)ので、持っていれば100%安全というものではありません。これはナイフ類でも同じことです。

ここまで書いたことはどれも完全な方法ではありません。内外の研究・経験からとりあえず有効であると考えられる方法です。クマに出会わないことが一番大切です。

参考資料

パンフレット「ヒグマを知ろう」、「あなたとヒグマの共存のために。」
北海道 広報 1999年4月版

お問い合わせ

日高山脈博物館

〒055-2301
北海道沙流郡日高町本町東1丁目297-12
電話:01457-6-9033
FAX:01457-6-9033