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第3回 動物注意!キタキツネ

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観光地や市街地の近くでは人からえさをもらって(漁って)生きていることも多く、マルマルしたキツネがたくさんいます。そういうキツネを見慣れると、ときどき見るガリガリの姿に驚いてしまいます。道外の方はあまりご覧になったことがないので「まあかわいい」と近寄りがちですが、キタキツネは「エキノコックス」という寄生虫を持っているのです。

エキノコックス症とは

「エキノコックス」という寄生虫による病気で、潜伏期間が非常に長い(数年~数十年)です。
主に肝臓がやられます。幼虫がだんだん大きくなってきて、肝臓の中で大きなしこりになってはじめて上腹部・肝臓あたりの不快感や膨満感などの症状が出てきます。さらに悪化すると肝機能障害を起こし、黄疸や腹水などが現れます。放っておくと命にかかわることもあります。
現在のところ完全な治療薬などは見つかっておらず、手術で切除するしか根本的な解決法はありません。

感染経路

エキノコックス症 感染サイクル

何らかの機会に『エキノコックスの卵』が人の口に入ると、肝臓に幼虫が寄生してエキノコックス症になります。

  1. エキノコックスはキツネの腸に寄生して卵を生みます。
  2. 卵がきつねの糞といっしょに排泄されます。
  3. この卵を草の実などとともにねずみが食べます。
  4. ねずみの体内で卵は幼虫になります。
  5. このねずみをキツネが幼虫ごと食べます。

人に感染するのは卵を飲み込んだときだけです。人から人への感染はありません。

なお、犬もキツネ同様エキノコックスの成虫が寄生します。

予防法

  • なま水を口にしない。
    道内の沢の水は(とくに山間部では)非常にきれいでついそのまま飲みたくなりますが、避けた方が賢明です。飲む場合は沸かすこと。
  • 山菜・果実などは水道の水でよく洗うか、よく火を通す。
    卵は熱に弱いです。
  • 帰ってきたらよく手を洗う。
  • キツネの餌付けをしない。
    らくにえさがもらえることを覚えると、キツネはどんどん人の近くにやってきます。近くの民家のまわりをあさるようになったら住人が困りますし、国道に出てきて轢き殺される例も後をたちません。キツネと人双方にとってマイナスになるのです。
  • ゴミの始末をきちんとする。
    札幌などの大都会でも町中でキツネを見ることがあります。山でゴミ(生ゴミを含む)を捨てないのはもちろんのこと、町でもポイ捨てや不法投棄はやめましょう。
  • 井戸は雨水・排水が流れ込まない構造にし、キツネや犬を近づけない。
  • 飼い犬がねずみを食べたりしないよう注意する。
    捨て犬はもちろんいけません。放し飼いも危険です。

検診

北海道内では、下記の健診が行われています。くわしくは最寄りの市町村・保健所までご相談ください。

1次検診
血清検査。市町村が実施。小学3年生以上で5年以上検診を受けていない方が対象。
2次検診
1次検診で陽性(擬陽性)であった方。超音波診断、血清検査など。北海道が実施。

エキノコックスについてのリンク

参考資料

北海道保健福祉部作成のリーフレット 「エキノコックス症の知識と予防」

お問い合わせ

日高山脈博物館

〒055-2301
北海道沙流郡日高町本町東1丁目297-12
電話:01457-6-9033
FAX:01457-6-9033