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2004(平成16)年9月18日に千葉大学で開催された日本地質学会第111回総会にて、日高町(合併前)が学会表彰をいただきました。
受賞者
北海道日高町
表彰対象
日高山脈館による地質学の普及と野外調査活動の支援
受賞理由
北海道日高町は、日高山脈襟裳国定公園の北麓高原に位置する人口2100人の小さな町であり、古くから日高山脈登山や日高変成帯の地質調査の基地の町の1つである。とくに、日高変成帯のはんれい岩帯に発し、グラニュライト相変成岩を刻み、さらにポロシリオフィオライト帯や白亜系付加体を横切る沙流川上流域は、地質学分野の研究者や学生にとってはなじみが深く、万国地質学会(1992、京都)や「古アジア海の収束と古太平洋の拡大」(1994、札幌)の地質巡検コースになってきた。
日高町は、地元の貴重な岩石や鉱物、地質環境の多様性、氷期に関係した動物群・植物群を多くの人に実体験してもらい、地域の活性化に寄与する施設として、1999年に『日高山脈館』を設立した。ここでは、日高山脈の自然の成り立ちについて、その地質や岩石鉱物、産出化石、ここに生息する動植物などが、パネルや標本展示、映像やコンピューターシステムなどで多面的にわかりやすく解説されている。また、『体験しながら楽しく学び、自然と共生していく“目”や“体”を養おう』をキャッチフレーズに、町民・道民を対象とした「日高山脈ネイチャーセミナー」や講演会、特別展が企画・開催されている。その広報のために、ホームページ(http://www.town.hidaka.hokkaido.jp/hmc/)も開設されている。
日高山脈館には、岩石カッターや研磨機などの設置された実験室があり、研究者・学生に広く公開されている。また、山麓に野外調査や地質巡検の簡易宿舎「千栄の家」があり、全国組織の「日高山脈地質くらぶ」と連携して野外調査の支援にあたっている。すでに、千葉大・新潟大・北海道大など多くの大学・研究機関のメンバーが、野外活動の拠点としてこれらを利用している。
このように、日高町による「日高山脈館の運営および調査活動の支援」は地質学の普及および発展に大きく貢献しており、ここに、日本地質学会として表彰するものである。