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掲載日
2024年3月12日更新

 

Ⅰ まちづくりの基本姿勢

令和6年日高町議会3月会議の開会にあたり、私の所信を申し述べさせていただき、町民の皆様をはじめ議員各位のご理解とご協力をいただきたいと存じます。

ロシアによるウクライナへの武力侵攻に加え、中東ガザ地区での紛争が勃発し、世界の情勢は一層混沌としております。国内においても、元日から能登半島地震が発生し、いまだインフラが復旧していない地域があるなど、地震がもたらす災害の恐ろしさを改めて認識させられました。

私たちの生活環境では、世界情勢などを背景にした様々な物価の高騰が、引き続き住民生活に大きな影響を及ぼし続けております。また、新型コロナウイルス感染症は5類感染症へ移行し、様々な行事が従来どおり開催されるようになったり、外国人観光客が急増するなどコロナ禍以前の姿を取り戻しつつあります。
こうしたように、依然として厳しい状況がある一方で、明るい見通しとなってきているものもあり、これらのことを念頭におきながら、第2次日高町総合振興計画の目標である「いきいきと働き、学び、安心と笑顔で暮らせるまち」の実現のため、各種施策に積極的に取り組んでまいります。

 

Ⅱ 主要政策の推進

次に町政を推進するための主な政策について、申し上げます。

 

1 地域産業の振興

はじめに、第一次産業を取り巻く環境は、コロナ禍の影響は回復してきているものの、不安定な国際情勢を要因とする肥料・飼料・燃油を中心とした生産資材高騰の高止まりなどにより、生産者の経営状況は依然厳しく、地域の基幹産業を発展的に維持していくために必要な対策を見極め、国の事業などを活用しながら引き続き必要な施策を実施してまいります。

水稲や施設野菜などの耕種農業につきましては、一昨年より国において水田活用直接支払交付金がルール化され、水田の畑地化が推進されています。当町においては、交付金の対象農地が既に実質的に畑地化されているものが多く、耕作地の状況は大きくは変わらないと認識していますが、一時的な畑地化促進事業はあるものの、これまで長年にわたり続いてきた水田活用直接支払交付金の対象とならない農地が多くなることが想定されることから、農家経済の動向を注視してまいります。
このように不確定な状況もありますが、今後とも水稲の安定的な生産を図るとともに、施設野菜などは、一層高収益性の作目となるよう施設整備への支援などに取り組んでまいります。

畜産業につきましては、酪農では乳製品の消費減少による実質的な出荷抑制や生産コストの上昇も加わり、酪農家の経営体力が削がれている状況が続いています。
また、肉用牛生産でも依然として生産費高騰が長期化していることや、市場相場の先行きも不透明感が強いことから、経営の維持に不安を抱く飼養農家も多いと推察しているところです。
酪農、肉用牛生産ともに厳しい状況が続いているところではありますが、関係機関と連携して消費拡大、販売収入の増大に繋げる努力を継続するほか、良質な生乳出荷のための機器導入に対する新たな支援や、規模拡大や省力化への取り組みに対しては、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業等の補助事業を活用しながら、増収増益を目指した基盤整備への支援を続けてまいります。

新規就農者につきましては、本年も複数名が営農を開始する見込みとなっており、経営が軌道に乗るまでしっかりと支援してまいります。また、担い手人材確保のため、引き続き地域おこし協力隊の制度などを活用しながら、新規就農者の育成を図ってまいります。

有害鳥獣対策につきましては、北海道及び日高管内各町と連携したエゾシカ・アライグマ等の有害鳥獣駆除の実施に努めるとともに、委嘱ハンターの活動に対する支援と農林業被害の縮小に必要な措置を継続してまいります。

軽種馬生産につきましては、ここ数年、市場は好調を維持していますが、飼料価格の高止まり、担い手不足・労働力不足という課題も抱えています。生産対策では、令和5年度から競馬法の改正により競走馬生産振興事業が恒久化され事業内容の拡充や事業費の拡大が図られたところですが、今後とも馬産地として、オール日高で「強い馬づくり」「馬産地の維持・発展」 「担い手不足対策」に関する要望を国・中央競馬会・地方競馬全国協会などに行うとともに事業のPRに努めてまいります。

ホッカイドウ競馬につきましては、関係者の様々な取り組みによりまして、発売額は、4年連続で500億円を超える結果となり、11年連続の黒字決算見込みとなるなど好調を維持しています。
本年度の開催は、4月17日の開幕から11月7日までの84日間を予定しています。
今年も、第5回JBC2歳優駿(JpnⅢ)が門別競馬場で開催されることが決定しており、他のレースが開催される佐賀競馬場とともに、日本の北と南から、全国の競馬ファンに向けダート競走の魅力が発信されることを期待しています。
また、これまで課題であり念願であった門別競馬場の改修事業が本格的にスタートします。厩舎の全面移転にはじまり、業務施設の整備、住居の新築と続くものですが、町としても事業の円滑な推進に積極的に協力してまいります。

林業につきましては、日高町森林整備計画に基づき森林の持つ多面的・公益的な機能が充分に発揮されるよう、町有林においては森林環境保全整備事業等による間伐などの保育事業を計画的に実施してまいります。
また、民有林につきましては、豊かな森づくり推進事業や日高町森林整備推進事業の活用を促進し、更新時期を迎えた未整備森林所有者へ適切な森林施業の実施を勧奨するとともに、令和6年度から賦課される森林環境譲与税を有効活用して、地域林業の活性化に努めてまいります。

漁業につきましては、漁獲量・漁獲高とも回復傾向にありますが、依然として地球温暖化の進行による海水温上昇が主な要因とされる主要魚種の不漁が続いていることや、燃油・漁具の高騰が長期化していることから、漁業経営も厳しい状況であります。漁獲魚種の変化などは、自然環境が大きく変わってきたことによるものであり、対応は難しいものでありますが、引き続き関係機関と連携し、水産資源の増殖による資源の確保など、漁業経営の安定に資する施策を継続してまいります。
また、令和3年に発生した赤潮被害についても実態が解明されていないため、国の調査事業がさらに継続される見通しとなっており、町としても支援を続けてまいります。

商工業につきましては、本年も原油価格高騰の影響を大きく受け厳しい経営状況を余儀なくされている町内事業者の経営の安定と継続のため、引き続き経営資金支援制度を実施するほか、日高町商工会の運営を支援することにより、組織基盤の強化を図ってまいります

ふるさと納税につきましては、返礼品の充実を図りながら、特産品のPRを行い、ふるさと納税の増収に努めてまいります。

観光振興につきましては、コロナ禍の影響により減少していた観光入込客数が徐々に回復傾向にあることから、道の駅をはじめとする町内の観光資源を活用した誘客事業を企画し、観光客の満足度向上に努めていくとともに、日高町観光まちづくり協会による日高町の魅力の発信や鵡川・沙流川WAKUWAKU協議会での広域連携事業により入込客数の回復に努めてまいります。

日高山脈襟裳国定公園の国立公園化につきましては、今夏の指定に向け日高山脈国立公園化推進協議会でリーフレットの作成を進めていますが、さらにキャンペーンなど対外的なPRに取り組むほか、町民の機運が醸成されるよう努めてまいります。また、指定区域への公園看板等周辺整備に加え、国の国立公園重点整備事業など国立公園の利用上必要な事業の活用を積極的に検討してまいります。
今回の国立公園化により、日高沙流川オートキャンプ場、日高国際スキー場、沙流川温泉ひだか高原荘がそのエリアに入ることとなります。これらの施設に国立青少年自然の家も加え、国立公園としてのネームバリューを最大限に活用した観光振興事業に取り組むとともに、引き続き、日高町へのビジターセンター整備などを環境省並びに関係省庁に要望してまいります。

 

2 生活環境の整備

地域公共交通につきましては、JR日高線の一部廃線に伴い、重要度が増したバス機能の充実を図るため、利用実態も考慮しながら、新たな路線の試験的な運行など、町内の交通体系の見直しを主な内容とする日高町地域公共交通計画の策定を進めてまいります。
また、日高地域広域公共バスにつきましては、引き続き持続性のある交通体系となるよう、運行ルートやダイヤについて交通事業者及び日高管内各町と協議を進めてまいります。

富川市街地活性化事業につきましては、昨年より複合施設の建設工事に着手し、令和7年4月のオープンに向けて、順調に工事が進んでいます。
誰もが気軽に立ち寄ることのできる場所として、また、交通や観光情報発信の拠点として、にぎわいのある魅力的な施設となるよう具体的な運用方法を検討してまいります。

門別温泉とねっこの湯につきましては、引き続き老朽化が進んでいる施設、設備の改修を進めてまいります。

道路整備につきましては、昨年に引き続き通学路の整備や未改良・未舗装道路の整備に取り組むとともに、劣化・損傷した路面及び排水施設の補修に努めてまいります。

河川整備につきましては、防災の観点から危険度に応じて河道内の堆積土除去など適切な維持管理に努めてまいります。

橋梁整備につきましては、定期的な点検により健全度を把握するとともに、計画的な修繕を行いライフサイクルコストの縮減に努めてまいります。

日高町都市計画マスタープランにつきましては、令和7年3月の完成を目指し、目標とするまちづくりの将来像をわかりやすく示すとともに、実現するための考え方などを明確にした新たなマスタープランの策定を進めてまいります。

町営住宅整備につきましては、引き続き新栄団地の建替事業及び既存住宅の改修を進め、長寿命化に資する改善や適正な維持管理に努めてまいります。

下水道事業につきましては、ストックマネジメント計画に基づき、富川浄化センターの機器及び日高地区マンホールポンプの更新に取り組むとともに、門別浄化センターの統合計画にも取り組んでまいります。
また、水洗化率向上のためホームページ等を活用した啓発活動にも取り組んでまいります。

上水道事業につきましては、重要給水施設配水管整備事業による耐震管への更新のほか、水道未普及解消事業による庫富地区への水道管整備を推進してまいります。
また、経営戦略の見直しを図り経営基盤を強化するとともに、適切な維持管理に努めてまいります。

日高地区の簡易水道事業につきましては、各施設の適切な維持管理を行い、安全・安心で安定した水道水の供給に努めてまいります。
また、料金改定を含む中長期の経営計画(経営戦略)に基づき、簡易水道事業の健全な経営に努めてまいります。

近年、様々な事情でお墓の継承、管理等に不安が生じており、令和3年に実施した墓地に関するアンケート調査においても、継承者がいないなどの理由から将来墓じまいを考えているとの回答が相当数あったところです。
こうした不安に対する対応として、新たに合葬墓の整備に取り組んでまいります。

 

3 安心して暮らせるまちづくり

健康づくりにつきましては、日高町第4次保健計画に基づき、各年代に対応した健康寿命の延伸、健康増進と疾病予防に取り組んでまいります。

感染症予防対策につきましては、新たに帯状疱疹予防接種、乳幼児のおたふくかぜワクチンの接種費用助成を実施し、疾病の予防に努めてまいります。

子育て支援につきましては、現在、第3期日高町子ども・子育て支援事業計画の策定を進めるため、多様化する子育てに関するニーズの把握を行っています。こうした調査を通じて得た分析結果を本計画に活かし、安心して出産、子育てができる環境づくりに努めてまいります。
また、新たな事業として不妊治療を受けている方の治療費や交通費等の経済的負担を軽減するため不妊治療費等助成事業を実施してまいります。

児童福祉につきましては、引き続き児童虐待の防止など、児童相談所との連携を強化し、より迅速かつ適切な対応を図るとともに各関係機関も含め情報の共有や連携を進めてまいります。
また、子ども発達支援事業につきましては、現在、広域で運営されており、今後も一定の負担をしながら対応してまいります。

保育サービスの提供につきましては、昨年、富川地区に民設民営の幼保連携型認定こども園が開園しましたが、その円滑な運営に寄与するため一定の費用負担など様々な支援を行い、安心な保育の確保に努めてまいります。
また、老朽化した保育所につきましては、これからの施設の在り方も含め検討を進めてまいります。

高齢者福祉につきましては、令和6年度から令和8年度までの日高町高齢者保健福祉計画及び第9期介護保険事業計画に基づき、高齢者が住み慣れた町で安心して暮らし続けられるよう、充実した在宅福祉サービスの提供と安定した介護保険事業の運営を目指してまいります。
また、関係機関と連携し、地域包括ケアシステムの推進、介護予防事業や認知症の理解促進とともに、地域サロン活動や地域高齢者の支え合い活動などを推進してまいります。

国民健康保険事業につきましては、健康保持の推進として、町内医療機関等と連携しながら、特定健診や生活習慣病等の重症化予防の推進、医療の適正化に取り組み、健康寿命の延伸に努めてまいります。

門別国保病院につきましては、地域に根付いた医療機関として、医療技術者の確保と安心して受診・療養できる医療提供体制の整備に努め、安心かつ信頼される病院を目指すとともに、経営面では、病床転換や施設再編などによる経営改革に取り組んでまいります。

日高国保診療所につきましては、看護師不足により、一時的に従来の診療体制が確保できなくなりますが、日高地区の医療機関として、住民が安心して受診できるよう、看護師の確保など持続可能な医療体制と経営の安定に努めてまいります。

防災対策につきましては、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に伴う津波による甚大な被害が予想されることから、避難施設や避難路及び避難所備蓄品等の整備について、具体的な事業計画を策定してまいります。
また、地震・津波災害を想定した住民参加型の訓練を実施し、避難経路の確認や災害時の情報伝達、避難態勢の検証など、避難意識の向上を図るとともに、迅速な避難態勢の整備に努めてまいります。

脱炭素事業に向けた取り組みにつきましては、脱炭素化の促進が町の事務事業、家庭・地域、事業所と様々なステージでの施策がある中で、既に策定している日高町地球温暖化対策実行計画の事務事業編に続いて、町の自然環境や社会的条件に応じた温室効果ガス排出量削減の具体的な施策を定める同計画の区域施策編の策定に取り組んでまいります。

DX推進に関する取り組みにつきましては、デジタル技術の活用による住民の利便性の向上を図るため、町ホームページのリニューアルに伴い、日高町公式LINEを新規開設し、防災や子育てをはじめとした住民が求める行政情報をきめ細かく発信してまいります。

デジタルデバイド対策につきましては、初めてスマートフォンを購入する高齢者に対し購入費用を助成するほか、操作に不安がある方にも安心して活用いただくためにスマートフォン教室を開催し、町内に暮らす方々がデジタルの恩恵を受けられるような事業を推進してまいります。

DXによる行政の効率化では、職員間の情報伝達・共有の効率化のため新たなツールを導入し、業務改革に取り組むとともに、組織全体のITリテラシーの底上げのため、デジタル技術活用スキル向上を目的とした職員研修を実施するほか、IT知識を認定する資格取得を推進し、今後のデジタル社会を牽引する職員の育成に取り組んでまいります。

 

4 持続可能な行財政運営

行財政運営につきましては、当然に必要な住民サービスに加え、その時々で何が求められているのかを敏感に察知していかなければなりません。限られた財源ではありますが、こうしたことを踏まえながら持続可能な財政運営を行うとともに、将来の日高町の姿を見据え、各種施策事業を着実に進めるように努めてまいります。

 

Ⅲ 予算案の概要

令和6年度の予算編成につきましては、国の令和6年度地方財政計画では、地方税が減少し地方交付税が増加、臨時財政対策債を減少させると見込み、一般財源総額の交付ベースを令和5年度と比較し増額と見込んでいるため、日高町においても、一般財源を令和5年度より増額で計上しております。

当町におきましては、幼児教育・保育の無償化、学校給食無償化事業の継続、燃料費及び物価高騰等により歳出予算の抑制が難しい状況ではありますが、各会計の予算編成は、限られた財源のもと財政の健全化を念頭に置きながら、第2次日高町総合振興計画の目指す将来像実現に向けた様々な施策や事業を盛り込んだところであります。

一般会計の予算規模につきましては、継続事業として富川市街地活性化事業、生活館改修整備事業、とねっこの湯改修事業、町営住宅整備事業及び町道整備事業、また、新規事業としても合葬墓整備事業、地域循環型バス運行事業、DX推進事業、新たな各種予防接種費用助成事業などを予算計上したことにより、前年度との比較では14億1,300万円、12.8%増となり、歳出総額が124億1,300万円となったところです。

 

Ⅳ むすび

以上、令和6年度の町政執行に臨む、私の所信を述べさせていただきました。

町政では様々な課題がありますが、これからも、決してまちの活力を失わないよう、私の姿勢として掲げている「町を元気に」という目標を実現するため、さらに鋭意努力し、町政運営に取り組んでまいります。

新年度は、私の任期の折り返しとなる3年目となりますが、町民の皆様、議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

 

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