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北海道の豊かな自然を象徴するヒグマは、日本に住む動物の中で一番大きな陸上動物です。ヒグマが住んでいるのは豊かな自然の現れ。でも間近で会わない方が身のためです。
今回は、事故を起こさないための心得を重点的にお伝えします。ただし「これだけ気を付けていれば安全」ということではありません。注意事項を参考にして、できるだけ遭遇しないよう、危険な目に会わないよう、心がけてください。
クマによってまちまちですが、オスで体長2~2・8m、体重は150~300キログラムです。オスはメスの2~3倍の大きさになります。あまり大きくない場合、車から100m以上も先に四つんばいでいたりすると「大きな犬がいる」と思うこともあります。
日頃彼らがよく歩くところに獣道ができますが、林道も歩きやすい道になる場合があります。お互いに認識しづらい林道の曲がり角で、ヒトとクマが鉢合わせになったという話も聞きます。
草、果実、木の実などの植物性のものを主に食べ、春はフキなどの草本類、秋はドングリ・ヤマブドウ・コクワなどの木の実をたくさん食べます。イチゴやアリ、ハチ、エゾシカ、さかな、ザリガニなども食べることがあります。
クマの方がずっと早く走れます。時速50km(100mを7秒ちょっとで走るスピード)は出せるといわれています。
事故に出会わない一番の方法はクマに会わないことです。
山に入る前に出没情報を集めておきましょう。
などが参考になります。
クマは人間が来たとわかるとさけるものです。<ヒグマの聴覚&嗅覚はヒトよりずっと鋭いです。>
など。しかしイヌを連れての立ち入りは、ヒグマを異常に興奮させることがあるので危険です。
明け方や夕暮れ時、濃霧、雨降りのときは、あたりのようすが見えにくいので危険です。また早朝や夕方はヒグマの活動が活発になりますので、その時間帯の行動には細心の注意が必要です。<ヒグマの視覚はそれほどよくありません>
このような痕跡があったら、まだ近くにいる可能性が高いです。
すみやかにその場を離れましょう。
冬眠明けのヒグマは、冬期に死亡したエゾシカを食べます。山中でエゾシカの死体を見つけたら、あまり近寄らずにその場を離れてください。
お弁当などで、あまり匂いの強い食べ物はヒグマを引き寄せる場合があるので避けた方が賢明です。
そして食べ終わったら、食べ残し・生ゴミ・食べ物が入っていた容器を絶対に捨ててはいけません。埋めてもすぐかぎつけます。残飯やキャンプの食料などは、クマにとってたいへんなごちそうです。一度味をしめるともっとほしくて何度でもやってきて、ついには人を見ても逃げずに近づいてくるようになります。
このようなクマは危険なクマとして殺されて(駆除されて)しまいます。なにより、次に訪れる人たちを重大な危険にさらすことになるのです。
必ず近くに母親がいます。子グマにかまうのは自殺行為です。
普通はクマの方で気がついて立ち去ります。とにかくこちらがパニックに陥らないことが大切です。
そっとその場を離れましょう。
クマの移動する方向を見定めながら静かに立ち去りましょう。
騒いだり走って逃げたりするのは、クマを刺激するのでたいへん危険です。
このときリュックや服などの持ち物をそっと置くと、クマの気を引いて時間を稼げます。<間違っても荷物を回収しようと思ってはいけません。自殺行為です。>
子グマを連れた母グマ、手負いのクマ、人の食べ物の味を知ったクマなどが襲ってくる可能性も、残念ながらゼロではありません。
ここまで書いたことはどれも完全な方法ではありません。内外の研究・経験からとりあえず有効であると考えられる方法です。クマに出会わないことが一番大切です。
パンフレット「ヒグマを知ろう」、「あなたとヒグマの共存のために。」
北海道 広報 1999年4月版