ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
Menu
背景
文字サイズ
現在地

本文

掲載日
2016年2月2日更新

Dr. Bamba図5北海道中軸帯の超塩基性岩の分布それでは二番日の話題、日高地方のかんらん岩資源についてお話しします。
図5に示すように、北海道の中軸部には多くの超苦鉄質岩が分布します。この中に新鮮なかんらん岩は岩内岳と幌満の2個所に存在します。かんらん石は1890℃-1559℃の高温でマグマから分離した鉱物で高温に耐える性質を有しています。その性質が利用され、溶鉱炉の内部壁面や炉から流れ出る融鉄の受け皿として使われます。製鉄産業には欠かせない資源です。

1)岩内岳かんらん岩

図6岩内岳かんらん岩の岩相区分図(舟橋・小林1961原図)このかんらん岩は直径1kmで大部分は斜方輝石を含むかんらん岩です。オリビンのみからなるダナイト相は図6に示すように延長は2km、厚さは平均50mと推定されました。深さは不明ですが、かりに100mまで続くものとして、比重を3とすれば、埋蔵量は2.000×50×100×3=3×107トン、すなわち約3.000万トンが見込まれます。
 この地域は国有林ですから、かんらん岩の採掘は種々の制約を受けます。このことを考慮して可採掘鉱量を富士ダナイト株式会社は約2.000万トンと推定しています。このかんらん岩は昭和38年から昭和53年の間に採掘され、その量は130万トンに達しました。いま、室蘭の新日鉄製鉄所へ年間5万トンがオリビンサンドとして製鉄用に送鉱されています。また、苫小牧東部港の建設の捨石(防波堤構築の基礎材)として15万トンが出鉱されています。捨石は比重が大きく、風化に耐える岩石であることが必要で、必ずしも純粋のダナイトでなくてもよいのです。

2)幌満かんらん岩

図7幌満輝石かんらん岩体の断面(新井田1975原図) 幌満のかんらん岩体は図7に示すようにダナイト相のほかに各種の輝石を含む岩相や斜長石を含む相まであり、それらが層状に発達するもので前記の岩内岳かんらん岩体とは違って複雑で規模も直径10kmと巨大であります。この中で稼行に耐えるダナイト相の分布は限られ、厚いダナイト層は3層です。このうち深い部分は条件が悪く、稼ぐことが出来ないので稼行対象は上部の2層に限定されます。これらは平面的には3km2で、厚さの合計は300mに近いようです。比重を3とすると、予想鉱量は3.000×3.000×300×3=81×108トン、すなわち81億トンとなります。この地域は国有林で、地表には貴重な林産資源があるばかりでなく、幌満川には水力発電の施設もあるので、かんらん岩の採掘は上記の種々の制限を受けることになります。この点は前記の岩内岳の場合と同じです。

講演トップへ
「オープニングセレモニー」へ
ほかの特別展・イベントへ