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〒059-2192 北海道沙流郡日高町門別本町210番地の1
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平成31年日高町議会3月会議の開会にあたり、私の所信を申し述べさせていただき、町民の皆様をはじめ議員各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
我が国の少子高齢化は待ったなしの状況であり、日本社会は急激な人口減少局面を迎えつつあります。当町においても平成30年8月には1万2千人を割り、平成18年の合併時からは約2,800人もの減少となりました。
地域を支える若年層の流出や出産年齢人口の減少は、町税の減収や地域の担い手不足、社会保障経費の増大、あるいは地域経済の停滞などを招くなど、全国の小規模自治体に存在するこれらの課題の多くが日高町にも当てはまる現状です。
昨年4月、皆様のご支援をいただき町長に就任して以来、間もなく1年が経過しようとしています。この間、こうした当町が抱える様々な課題を改めて認識すると共に、今後の進むべき道の険しさも実感いたしましたが、同時にこれらの問題に挑戦する意欲が掻き立てられました。
町民の皆さんと共に力を合わせて一つ一つを乗り越え、日高町に明るい未来を築いてまいります。
これからのまちづくりは、各自治体が単に人口を奪い合うのではなく、人口減少の中にあっても「元気で幸せな地域」を作るという視点が必要です。こうしたことの実現のためには町だけではなく、様々な人や組織がそれぞれの力を発揮することで大きなエネルギーを作り出していくことが重要です。
町民の皆さんと行政が互いに知恵や情報を出し合い、共に考え、共に話し合いながら身近な課題を解決していく協働のまちづくりの具体的な姿を構築してまいります。
そして、将来は「まちは、みんなでつくる」。このことが多くの皆さんの合い言葉となるよう願うものであります。
次に町政を推進するための主な政策について、申し上げます。
農業につきましては、EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)、さらにはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)といった農産物の貿易ルールを巡る動きを注視しなければならないグローバル化の時代となりました。現にこれらの貿易ルールが発効すると農畜産物の生産額が減少するとの北海道の試算もあります。こうした情勢の中、稲作・施設野菜・畜産・酪農といった日高町の農業の主要となる分野において、これまでの各種事業を有効に活用し、経営基盤の安定を図ると同時に将来を見据えた農業経営のあり方について、農業者の皆さん、農業団体とともに築いてまいります。中でも喫緊の課題である後継者対策につきましては、東京・札幌で開催されるイベントで新規就農者を発掘するほか、国の制度等も積極的に活用して多様な担い手の育成・確保に努めてまいります。
軽種馬産業につきましては、競走馬生産振興事業等を活用した強い馬づくりを奨励するとともに市場売却率の向上対策を支援してまいります。また、この分野は特に働き手不足が顕著でありますので、新たな人材確保対策に取り組んでまいります。
有害鳥獣対策につきましては、引き続き日高管内で連携したエゾシカ駆除の実施により、農林業被害の減少に努めてまいります。
ホッカイドウ競馬につきましては、昨年の北海道胆振東部地震により施設に被害を受けたほか、開催日程が短縮されるなどの影響がありましたが、売上げが対前年を約5億円上回り6年連続の黒字決算見込みとなりました。今後も日高管内の基幹産業である軽種馬産業を支える産地競馬としての体制をさらに強化していくために、北海道や関係機関と一体となってより一層の活性化に努めてまいります。
林業につきましては、「災害に強い森林づくり・自然環境を大切に育てる林業」を目標に、地球温暖化対策に寄与する観点からも日高町森林整備計画・森林経営計画に基づき、森林環境保全整備事業を中心に適正な森林整備を実施してまいります。また、利用可能な資源については、売り払いを視野に入れてまいります。
水産業につきましては、シシャモやマツカワをはじめとする水産資源の増殖事業を継続してまいります。また、ひだか漁業協同組合が事業主体となり、本年度着工する「静内対空射撃場周辺漁業用施設設置助成事業」水産加工施設の整備に必要な支援を行ってまいります。
商工業につきましては、町内商工業の大半を占め地域経済の発展に重要な役割を果たしている小規模企業の振興を図るため小規模企業振興基本条例を制定し、総合的に施策を推進してまいります。
観光振興につきましては、門別地区・日高地区それぞれの観光資源を生かしながら、発信力のある取り組みを行っていくとともに、観光協会との連携では両地区での積極的な事業展開に努めてまいります。
また、「鵡川・沙流川WAKUWAKU協議会」を通して、むかわ町、平取町と日高町の3町が連携し、一つのエリアとして広域的な観光振興に取り組んでまいります。
地域公共交通につきましては、通学や通院の移動手段として地域住民の生活の足を確保するため、引き続き生活バス路線の維持・確保に努めるとともに、常に利便性や効率性を検討しながら、将来にわたって持続可能な交通体系の確立を図ってまいります。
また、不通になってから4年を過ぎたJR日高線につきましては、日高管内7町で協議を続けておりますが、当町としては日高門別駅、または富川駅までの運行再開を目指しているものであり、引き続きそれを可能とする条件などを確認しながら実現に向けて努力を続けてまいります。
昨年発生しました北海道胆振東部地震災害による道路・河川の被災箇所につきましては、最重点事業として引き続き早期復旧を図ってまいります。
道路整備につきましては、安全な交通基盤の実現へ向けて、幹線道路網の整備促進や劣化・損傷した路面の補修、道路排水整備など長寿命化による道路環境の適切な維持管理に努めてまいります。
橋梁整備につきましては、長寿命化修繕計画に基づき、国が定めた5年に一度の法定点検を行いながら、適宜補修工事を実施してまいります。
河川整備につきましては、近年の異常気象や頻発する豪雨などの自然災害に備えるため、河道内の埋塞土除去など減災対策を強化してまいります。
町営住宅につきましては、住生活基本計画及び公営住宅等長寿命化計画に基づき、北通団地及び表町団地の整備のほか、修繕などの長寿命化対策を継続的に推進してまいります。
下水道事業につきましては、下水道ストックマネジメント計画を策定し、下水道処理施設及び管路施設等の機能診断に基づく機能保全対策の実施を通じて、既存施設の有効活用や長寿命化を図るとともに、更新、改築工事を順次実施し、適正な維持管理に努めてまいります。
上水道事業につきましては、富川、門別地区の浄水場や配水池施設及び水道管整備事業を推進してまいります。また、昨年の北海道胆振東部地震による被災を教訓に、災害時の断水区域を最小限に止めるための対策を検討し、町民生活に著しい支障をおよぼすことのないよう、安全で安定した給水サービスを提供してまいります。
日高地区の簡易水道事業につきましては、特別会計から企業会計へ移行することにより経営状況をさらに明確にし、今後とも安定した経営を目指してまいります。また、施設につきましては管路の漏水調査、修繕により有収率の向上を図り安定した水の供給を行ってまいります。
町民の皆様の健康維持につきましては、平成30年度に策定いたしました「日高町第3次保健計画」、「食育推進計画」、「いのち支える自殺対策行動計画」に基づき、各年代に対応した健康づくりをきめ細やかに取り組んでまいります。また、新規事業として新生児の聴覚障害の早期発見、早期療育や経済的負担を軽減させることを目的とした「新生児聴覚検査助成事業」を実施してまいります。
感染症予防対策につきましては、風疹予防接種等助成事業の対象者に、新たに抗体保有率の低い39歳から56歳までの男性も含めて実施するほか、各種ワクチンの接種費用助成を継続し、疾病の予防に努めてまいります。
子育て支援につきましては、現在、第2期目となる「子ども・子育て支援事業計画」の策定を進めるために、多様化する子育てに関するニーズの把握を行っております。こうした調査を通じて得た分析結果を本計画に活かし、安心して子育てできる環境づくりに努めてまいります。
保育所につきましては、本年秋に予定されている幼児教育無償化への対応に取り組むとともに、引き続き老朽化した施設の整備を進めてまいりますが、併せて私立幼稚園との関わり方について改めて検討してまいります。
子育て支援センター・児童館運営事業につきましては、昨年オープンしたもんべつ児童館が新たな子育て情報の発信基地となりましたが、事業内容の一層の充実を図り、放課後児童健全育成事業など他事業とも連携しながら、子育てしやすい環境の確保に努めてまいります。
放課後児童健全育成事業につきましては、学童保育を必要とする家庭を支援するため、適切な事業運営に努めてまいります。
障害者福祉については、障がいのある方が、住み慣れた地域で自立した生活ができるよう自立支援給付事業等を通じて環境づくりを支援してまいります。
高齢者支援につきましては、高齢者の方々が自分らしい暮らしを続けることができるために、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」が有効に機能するよう庁内の関係部署はもちろんのこと、民間事業所などとの連携を強化してまいります。
また、介護人材の不足は本町においても深刻な課題となっていることから、必要な介護人材の確保と育成を目的とした介護職員初任者研修等費用助成事業を継続し、介護職員の確保とともに町内就業の促進に努めてまいります。
国民健康保険事業につきましては、0歳から中学生までの通院、入院にかかる医療費の全額を助成する乳幼児等医療費助成制度を、高校生の入院まで医療費の助成を拡大し、保護者の負担軽減に努めてまいります。
門別国保病院につきましては、新公立病院改革プランに基づき医療提供体制の構築に取り組むとともに、引き続き医師や看護師等の医療技術者の確保に努め、地域医療の充実を図ってまいります。
日高国保診療所につきましては、課題である入院病床の再開に関し、経営的な視点も必要であると申し上げてきました。このため今年度は再開した場合の経営分析を行い、その実現の可否をなるべく早い時期に判断してまいります。
富川国保診療所につきましては、開設から3年目を迎え門別国保病院と連携し健診事業などの充実に努め、さらなる経営の安定と地域医療の充実を図ってまいります。
防災対策につきましては、昨年の北海道胆振東部地震の教訓を活かし、町民の皆さんの自助及び共助の意識向上に努めるとともに庁内の災害対応体制を再確認し、災害に強い町を目指してまいります。また、総合水防演習や防災訓練を実施し、関係機関との連携の強化を図ってまいります。
平成31年度の日高町一般会計予算につきましては、日高町の主要な一般財源である地方交付税について地方財政計画においては1.1パーセントの増となっていますが、町税を含む一般財源総額については大幅な増収が見込めなく、引き続き厳しい財政状況となっています。限られた財源のもと、財政の健全化を念頭に置きながら予算編成を行った結果、一般会計の予算規模は99億7,800万円となり、本格予算の前年度との比較では7億3,247万5千円、6.8%の減となりました。このような予算ではありますが、それでもなお、財政調整基金を4億4,225万7千円取り崩す結果となりました。
以上、平成31年度の町政執行に臨む、私の所信を述べさせていただきました。
人口減少、少子高齢化社会に突入し、働き手不足や社会保障経費の増大に加え、公共施設の老朽化対策費用の増加など、今まで経験したことのない厳しい自治体環境となっております。今後、持続可能な財政運営を目指すためには各種施策の費用対効果を検証しながら事業の取捨選択を迫られることになります。既存の公共施設等のあり方についても検討するなど、前例にとらわれることのない、新しい視点をもった取り組みが必要となってまいりますが、今後はいかに活力を失わないでこうしたことを実現していくかが大きな行政課題であり、皆さんと共に大いに知恵を絞らなければなりません。
町議会ならびに町民の皆様のご理解とご協力を、心からお願い申し上げます。