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令和5年日高町議会3月会議の開会にあたり、私の所信を申し述べさせていただき、町民の皆様をはじめ議員各位のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
ロシアによるウクライナへの武力侵攻から1年以上が経過し、世界経済は非常に不安定となっております。エネルギー供給の見通しが予測できないため物価が高騰し、私たちの生活に多大な影響を及ぼし続けております。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行から丸3年が経過し、感染拡大がいまだ収束していないため、生活環境に一定の制約が残っています。今後も感染状況を注視しながら必要な対策を講じるとともに、令和5年度はアフターコロナを見据えて、新たなステージへの移行の年になると考えております。
こうしたことを念頭におきながら、第2次日高町総合振興計画の折り返しの年となる令和5年度は、目標である「いきいきと働き、学び、安心と笑顔で暮らせるまち」の実現のため、各種施策に積極的に取り組んでまいります。
次に町政を推進するための主な政策について、申し上げます。
はじめに、第一次産業を取り巻く環境は、依然として続くコロナ禍の影響や不安定な国際情勢を要因とする肥料・飼料・燃油を中心とした生産資材の高騰などにより、生産者の経営状況は大変厳しく、地域の基幹産業を発展的に維持していくためには国や北海道の支援が欠かせない状況であります。町としましても国や北海道の支援を踏まえながら、この局面を乗り切るために必要な施策を実行してまいります。
水稲や施設野菜などの耕種農業につきましては、国の水田活用直接支払交付金のルール厳格化などで、水田の畑地化がより一層推進されており、耕作地の将来像を描き直すターニングポイントを迎えていると認識しております。農業者の高齢化が顕著となっている中、安心して次世代へバトンを渡すため、地域の皆様とともに知恵を絞り、農地の保全を最優先のテーマとしながら、安定的な農産物の生産と収益向上に繋がる取り組みをより一層推進してまいります。
畜産業につきましては、酪農では乳製品の消費減少による供給過多を抑えるための出荷抑制や生産コストの上昇も加わり、酪農家の経営体力が削がれている状況が続いております。
また、肉用牛生産でも依然として生産費高騰が長期化していることや、市場相場の先行きも不透明感が強いこともあり、経営の維持に不安を抱く飼養農家も多いことと推察しております。
酪農、肉用牛生産ともに厳しい状況が続いているところではありますが、関係機関と連携して消費拡大、販売収入の増大に繋げる努力を継続するほか、規模拡大や省力化への取り組みに対して、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(畜産クラスター事業)等の補助事業を活用しながら、増収増益を目指した基盤整備への支援を続けてまいります。
新規就農者につきましては、本年は複数名が営農を開始する見込みとなっており、経営が軌道に乗るまでしっかりと支援してまいります。また、担い手人材確保のため、引き続き地域おこし協力隊の制度を活用しながら、新規就農者の育成を図ってまいります。
有害鳥獣対策につきましては、北海道及び日高管内各町と連携したエゾシカ・アライグマ等の有害鳥獣駆除の実施に努めるとともに、委嘱ハンターの活動に対する支援と農林業被害の縮小に必要な措置を継続してまいります。
軽種馬生産につきましては、オール日高の取り組みとして「強い馬づくりと軽種馬経営の持続的発展に資する馬産地活性化」の要望活動により、令和5年度からの競走馬生産振興事業の支援メニューが幅広く拡充される見通しとなりました。これにより、生産基盤の強化・充実に取り組む生産者の負担が軽減され、経営の将来展望に明るい材料が加わったと認識しております。町としましても事業のPRに努めるほか、事業を要望する生産者の事務手続き等について側面からの支援を実施してまいります。
また、軽種馬生産における担い手不足対策につきましては、生産牧場の労働力確保のために日高管内全体で人材養成事業に取り組んでおり、事業主体の一員として円滑な事業遂行に尽力してまいります。
ホッカイドウ競馬につきましては、主催者を初め、競馬関係者のご協力、産地のさまざまな取り組みによりまして、発売額は、計画比及び前年比が100%を超える結果となりホッカイドウ競馬史上最高額を更新し、10年連続の黒字決算見込みとなるなど好調を維持しています。
さらに、「第4回JBC2歳優駿(JpnⅢ)」が3年ぶりに大井競馬場と連携のもと開催されることが決定しましたので、全国の関係者や競馬ファンに向けたPRと情報発信を行うなど、ダート競馬の祭典JBCを盛り上げてまいります。
また、第3期北海道競馬推進プランに掲げた競馬場内の基幹施設更新整備工事が着工されます。
厩舎の移転改築、居住・業務施設の改築など、整備更新事業が着実に実施されることで、ホッカイドウ競馬事業の永続的な発展と馬産地のさらなる活性化に期待するところであります。
林業につきましては、「日高町森林整備計画」に基づき森林の持つ多面的・公益的な機能が充分に発揮されるよう、町有林においては森林環境保全整備事業等による間伐などの保育事業を計画的に実施してまいります。
また、民有林につきましては、豊かな森づくり推進事業や日高町森林整備推進事業の活用を促進し、更新時期を迎えた未整備森林所有者へ適切な森林施業の実施を推奨するとともに、森林環境譲与税の有効活用と町内での木材利用を推進し、地域林業の活性化に努めてまいります。
漁業につきましては、海水温上昇が主な要因とされる主要魚種の不漁や、燃油・漁具の高騰が長期化していることから、漁業経営も依然として厳しい情勢であります。この局面からの脱却は、自然相手が故に非常に難しいことですが、関係機関と連携し、安定した水産資源の確保、漁業経営の維持、水産資源の増殖など、安定した漁業活動に資する施策を継続してまいります。
また、令和3年に発生した赤潮被害についても実態が解明されていないため、国の調査事業が継続される見通しとなっており、町としてもこれに支援を続けてまいります。
商工業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油価格高騰の影響を大きく受け厳しい経済状況が続く中、地域経済の持続並びに活性化を図るため、引き続き経営資金支援制度を実施するほか、経営改善普及事業等に取り組む商工会の運営に対し、支援してまいります。
ふるさと納税につきましては、日高町を応援してくださる方々を増やし、地域経済の活性化を促進させるため、各事業者と連携強化を図りながら、魅力ある返礼品の提供、情報発信に努めてまいります。
観光振興につきましては、日高町観光まちづくり協会と連携し、新たな観光スタイルに合わせた体験型の商品の造成、道の駅や門別競馬場を活用した地場産品の消費拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
また、JR日高線跡地を活用して整備しました旧JR日高門別駅舎につきましては、地域内外の交流を図るイベントを企画し、地域の活性化に努めてまいります。
日高山脈襟裳国定公園の国立公園化につきましては、環境省において、国立公園指定に向けた所要の手続きが進められていますが、引き続き指定エリアの拡大のほか、ビジターセンターの整備などを同省並びに関係省庁に要望していくとともに、早期指定の実現に向けた活動を続けてまいります。
また、要望どおりに指定エリアが決定した際は、日高沙流川オートキャンプ場、日高国際スキー場、沙流川温泉ひだか高原荘が国立公園内にあることなどをPRポイントとしてキャンペーンを展開し、国立公園としてのネームバリューを最大限に活用した観光振興事業に取り組んでまいります。
地域公共交通につきましては、JR日高線の一部廃線に伴い、重要度が増したバス機能の利便性を図るため、持続可能な交通ネットワークを一体的に形づくる地域公共交通計画の策定を予定しております。
また、日高地域広域公共バスにつきましては、引き続き持続性のある、より利便性の高い交通体系となるよう、運行ルートやダイヤについて交通事業者及び日高管内各町と協議を進めてまいります。
富川市街地活性化事業につきましては、これまで複合施設整備の実施設計業務を進めてまいりました。
令和5年度は、令和7年4月の供用開始を目指して複合施設の建設工事に着手し、住民の皆さんの交流の拠点のほか、交通や観光の拠点として、にぎわいのある魅力的な複合施設となるよう整備を進めてまいります。
門別温泉とねっこの湯につきましては、老朽化が進んでいる施設、設備の計画的な改修を進めてまいります。
道路整備につきましては、通学路の整備や未改良・未舗装道路の整備に取り組むとともに、路面や排水施設などの効率的かつ適切な維持管理を行い、道路環境の整備に努めてまいります。
河川整備につきましては、近年の異常気象や頻発する豪雨などの自然災害に備えるため、河道内の堆積土除去など減災対策に努めてまいります。
橋梁整備につきましては、計画的な修繕工事を実施することにより、修繕・架け替えにかかるトータルコストの縮減に努めてまいります。
昨年8月に発生しました大雨災害による道路・河川の被災箇所につきましては、最重点事業として引き続き早期復旧を図ってまいります。
現在の都市計画マスタープランにつきましては、計画期間が令和6年度までとなっておりますので、令和5年度から2カ年計画で新たに都市計画マスタープランを策定してまいります。
町営住宅整備につきましては、引き続き新栄団地の建替事業及び既存住宅の改修を進め、長寿命化に資する改善や適正な維持管理を実施してまいります。
下水道事業につきましては、ストックマネジメント計画に基づき、富川浄化センターの機器及び日高地区マンホールポンプの更新に取り組むほか、農業集落排水施設である厚賀浄化センターの機能強化に取り組んでまいります。
さらに、将来の維持管理費の抑制を目的とした門別浄化センター統合計画にも着手してまいります。
上水道につきましては、重要給水施設配水管整備事業による耐震管への更新のほか、水道未普及解消事業による庫富地区への水道管整備を推進してまいります。
また、一層の経費削減と収納率の向上により経営基盤を強化するとともに、適切な維持管理に取り組んでまいります。
日高地区の簡易水道事業につきましては、各施設の適切な維持管理を行い、安心・安全で安定した水道水の供給に努めてまいります。
また、料金改定を含む中長期の経営計画(経営戦略)に基づき、簡易水道事業の健全な経営に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症予防対策につきましては、引き続き国のワクチン接種体制確保事業に基づき、迅速かつ適切なワクチン接種の提供に努めてまいります。
健康づくりにつきましては、令和4年度に策定された「日高町第4次保健計画」に基づき、各年代に対応した健康寿命の延伸、健康増進と疾病予防について取り組んでまいります。
子育て支援につきましては、安心して出産、子育てができる環境の整備として産後ケア事業など伴走型相談支援の拡充を図り、子育て世代包括支援センターや子育て支援センターわくわく館、児童館などにおける子育て支援体制を充実させ、放課後児童健全育成事業の適切な運営に努めてまいります。
児童福祉につきましては、児童虐待の防止など、児童相談所との連携を強化し、より迅速かつ適切な対応を進めてまいります。
また、広域で運営している子ども発達支援事業や、通所療育支援事業の在り方につきまして引き続き検討してまいります。
保育サービスの提供につきましては、富川地区におきまして幼保連携型認定こども園が開園します。その円滑な運営に寄与するため費用負担など様々な支援を行い、安全で安心な保育の確保に努めてまいります。
また、老朽化した町内施設につきましては、これからの施設の在り方も含め検討を進めてまいります。
高齢者福祉につきましては、高齢者保健福祉計画及び第8期介護保険事業計画の最終年となりますことから、これまでの成果や課題等を分析し、高齢者が住み慣れた町で安心して暮らし続けられるよう、充実した在宅福祉サービスの提供と安定した介護保険事業の運営をめざし、次期計画を策定することといたします。
また、関係機関と連携し、地域包括ケアシステムの推進、介護予防事業や認知症の理解促進とともに、地域サロン活動や地域高齢者の支え合い活動などを推進してまいります。
国民健康保険事業につきましては、健康保持増進のために、疾病の早期発見、重症化予防に繋がる特定健診・特定保健指導の受診率の向上が重要な課題であります。
町内医療機関等と連携しながら、加入者の健康課題を分析し、健康寿命の延伸を目的とした各種検診等の受診勧奨を進めてまいります。
門別国保病院につきましては、地域に根付いた医療機関として、引き続き医師や看護師などの医療技術者の確保と安心して受診・療養できる医療提供体制の整備に努めるとともに、経営面での諸課題にも取り組んでまいります。
日高国保診療所につきましては、日高地区の医療機関として、町民一人ひとりが安心して受診できるよう、現状の医療体制を維持しながら経営の安定に努めてまいります。
防災対策につきましては、昨年、巨大地震に伴う津波により甚大な被害が予想される特別強化地域に指定されたことから、避難施設や避難路の整備など、具体的な事業計画を策定してまいります。
また、地震・津波災害を想定した住民参加型の訓練を実施し、避難意識の向上を図るとともに、避難経路の確認や情報伝達、避難態勢の検証を行ってまいります。
脱炭素事業に向けた取り組みにつきましては、日高町地球温暖化対策実行計画に基づき、職員一人ひとりが温暖化対策の重要性を認識するため、研修会などへ積極的に参加してまいります。
また、各施設のエネルギー使用量を把握し、照明機器のLED化やエネルギー効率の高い設備の導入などを推進してまいります。
自治体DX(デジタル化)に関する取り組みでありますが、本年度、全庁的なDX推進の取り組みを進めていくための組織体制を整備し、全庁的にDXを推進するための全体方針を決定することとし、デジタル技術の活用により、一人ひとりが希望に添ったサービスを選べ、利便性と快適性の向上を目指すとともに、事務・業務の効率化など業務改革に取り組んでまいります。
行政運営につきましては、コロナ禍に加えて、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した物価高騰により不透明な財政状況が続くと想定されます。当町においては、多くの公共施設の老朽化が進み今後の更新などが見込まれていますが、必要な住民サービスを将来にわたって安定的に提供していかなくてはなりません。限られた財源で持続可能な財政運営を行うため、各種施策や事業について目的や費用対効果を検証し、公共性や緊急性、必要性を精査した優先順位付けを行うなど、効率的な行政運営に努めてまいります。
令和5年度の予算編成につきましては、国の令和5年度地方財政計画では、地方税及び地方交付税が増加すると見込む一方、臨時財政対策債を減少させ、交付ベースの一般財源総額を令和4年度と比較し増と見込んでいるため、令和5年度日高町一般会計予算の一般財源を令和4年度より増額で計上しております。
当町におきましては、幼児教育・保育の無償化、学校給食無償化事業の継続、燃料費及び物価高騰等により歳出予算の抑制が難しい状況ではありますが、各会計の予算編成は、限られた財源のもと財政の健全化を念頭に置きながら、第2次日高町総合振興計画の目指す将来像実現に向けた様々な施策や事業を盛り込んだところであります。
一般会計の予算規模につきましては、認定こども園施設整備事業が減少したものの、継続事業として富川市街地活性化事業、アイヌ政策推進交付金事業、とねっこの湯改修事業及び町道整備事業、また、新規事業として都市計画マスタープラン策定事業などを予算計上したことにより、歳出総額が110億円となりました。前年度当初の骨格予算との比較では9.3%増、令和4年6月補正後の肉付け予算とは、ほぼ同額の予算となりました。
以上、令和5年度の町政執行に臨む、私の所信を述べさせていただきました。
3年が経過した新型コロナウイルス感染症のほか、ロシアのウクライナ侵略や中国の海洋進出に伴う財政問題を包含した防衛論議など、国内問題のみならず国際情勢が私たちの生活に大きく影響する時代となりました。
こうした状況は、当然に地方自治体の運営にも多大な影響を及ぼしていますが、そうした中でも決して針路を見失うことなく、私の姿勢として掲げている「町を元気に」という目標を実現するため、さらに鋭意努力し、町政運営に取り組んでまいります。
町民の皆様、議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。