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令和3年日高町議会3月会議の開会にあたり、私の所信を申し述べさせていただき、町民の皆様をはじめ議員各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
新型コロナウイルス感染症が日本で初めて感染確認されてから1年以上が経過しましたが、依然終息する兆しが見えず、本年も難しい年となることが予想されます。そのような中においては、新たな生活様式や感染対策などを考慮した施策展開を行う必要があります。
また、全国的な人口減少と少子高齢化、さらに新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言により小規模自治体においては、地域の担い手不足や町税の減少、社会保障経費の増加など、今後の地域経済や健全な財政運営にも影響することも想定されます。
こうした状況ではありますが、第2次日高町総合振興計画の目指す「いきいきと働き、学び、安心と笑顔で暮らせるまち」の実現のため、子育て世代をはじめ高齢者や障がい者などへの福祉の充実、農林水産業や観光など様々な施策に取り組んでまいります。
また、本年は、昨年延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、日高町はウズベキスタン共和国のホストタウンに登録され、大会終了後には近代五種競技の選手と関係者をお招きし、世界の一流選手とのスポーツ交流や海外の文化、芸術を通じた交流を町民の皆さんと行えることを楽しみにしており、1日も早くコロナ禍が沈静化し、無事大会が開催されることを願うところであります。
次に町政を推進するための主な政策について、申し上げます。
農業につきましては、それぞれの生産者が新型コロナウイルス感染症予防を徹底しながらの生産活動を強いられる中、その対策を講じて、なお安定的な収益を維持するためには、状況に即した柔軟な取り組みを適時に実施していく必要があります。
耕種・畜産では、経営効率化と生産規模拡大などが期待される農業法人の設立及び新規参入に対しての支援の拡充を図ってまいります。
農業従事者の高齢化や後継者不足への対策につきましては、東京・札幌などで開催される新規就農者募集イベントへのリモート参加や青年農業者の婚活イベントをオンラインで実施するなど、実行可能な手法で担い手人材の発掘に努め、国の補助制度等の活用とともに関係機関との更なる連携強化により農業従事者の確保・育成に努めてまいります。
有害鳥獣対策につきましては、北海道及び日高管内各町と連携したエゾシカ・アライグマ等の有害鳥獣駆除の実施に努め、農林業被害の減少に必要な措置を継続してまいります。
軽種馬生産につきましては、オール日高の取り組みとして「強い馬づくりと軽種馬経営の持続的発展に資する馬産地活性化」の要望活動を国など関係各方面に対して行っているところですが、この中心となる馬生産振興事業の拡充のほか、担い手・労働力の確保についても引き続き取り組んでまいります。
ホッカイドウ競馬につきましては、令和2年度の開催においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、最終日前3日間を除き無観客開催となりましたが、インターネット発売の増加により発売額は前年比157.3%で10年連続で前年度を上回り、ホッカイドウ競馬史上最高額を記録し、8年連続の黒字決算見込みとなるなど好調を維持しています。
さらに令和3年度からは、第3期北海道競馬推進プランにより、懸案であった厩舎等の施設整備がスタートします。町としてこれらの事業に積極的に協力し、日高管内の基幹産業である軽種馬産業を支える産地競馬としての体制のさらなる強化に努めてまいります。
林業につきましては、「日高町森林整備計画」に基づき森林の持つ多面的な機能が充分に発揮されるよう、町有林においては、間伐などの保育事業を計画的に実施し、継続的な町有林の適正管理・森林機能の維持保全に努めてまいります。
また、民有林については、森林環境譲与税を活用した未整備森林所有者への意向調査の結果を踏まえ、新たな森林整備推進事業を実施するとともに、人材育成、木材利用の推進や普及啓発事業の検討を行い、適切な森林施業の推進と管理に努めてまいります。
水産業につきましては、主要魚種であるさけ・ますの記録的な不漁、コロナ禍での外食需要の減少など漁業を取り巻く環境は大変厳しい状況ではありますが、ひだか漁業協同組合をはじめとした関係機関と連携し、安定した水産資源供給と漁業の健全な発展に資するため、水産資源の増殖事業と漁業活動への支援を継続してまいります。
また、ひだか漁業協同組合が事業主体となり、令和元年度着工しました「静内対空射撃場周辺漁業用施設設置助成事業」水産物加工施設が令和3年12月に完成を迎えることから、円滑な事業開始に向けて引き続き施設整備などに必要な支援を行ってまいります。
商工業につきましては、日高町中小企業・小規模企業振興条例を基本に、地域経済の発展に重要な役割を果たしている小規模企業の振興を図るため、新たな経営資金支援事業を創設し、制度の効果的な運用に努めてまいります。
また、商工会と連携しながら町内消費の拡大を図る取り組みとして、町内外の方々に飲食店などの利用を促す仕組みや新たなイベントの実施を検討してまいります。
観光振興につきましては、町内の魅力ある観光資源を再認識してブランド化を進めていくため、地域の観光資源を掘り起こす取り組みを引き続き行っていくとともに、前例にとらわれず、地域を取り巻く状況に対応した事業の実施と観光情報の発信に努めてまいります。
また、むかわ町・平取町と連携し、一つのエリアとして広域的な観光振興に取り組んでいる「鵡川・沙流川WAKUWAKU協議会」事業は、地域の現状や課題、観光客のニーズを把握し、広域での観光行政の方向性を見いだす重要な取り組みであり、今後も積極的に取り組んでまいります。
JR日高線は、平成27年1月以降相次ぐ台風被害等により運休し、バスによる列車代行輸送が行われてきました。この間、運行再開に向けた協議や新たな地域の広域公共交通となるバス運行体系の構築に向け、日高管内各町と関係団体において協議・検討を続けてまいりましたが、本年4月1日をもって正式にJR日高線鵡川・様似間が廃止され、これに代わる新たな日高地域における広域公共交通としてのバス運行がスタートいたします。新たなバス運行体系につきましては、既存のバス路線を含めて一体的に日高地域における広域公共交通としてスタートしますが、今後、持続性や利便性確保の観点から必要があれば弾力的に見直しを行っていくこととしています。
また、日高町内を運行する既存の町営バスや町営の送迎事業などにつきましても、地域における公共交通として、通学や通院など、より利便性・効率性が良い交通体系となるよう見直しを含めて検討してまいります。
当町の人口の約半数が集中する中心市街地である富川地区につきましては、少子高齢化等による居住人口の高齢化や空き店舗・空き地が増えるなど、中心市街地としてのにぎわいが失われようとしております。富川地区が町民の生活の拠点として、また、地域間における交流の拠点となるなど、にぎわいのある魅力的なまちづくりを実現するために富川市街地の活性化事業に取り組んでまいります。
なお、拠点となる施設整備につきましては、本年4月1日から運行がスタートする日高地域における広域公共交通の拠点となるバスターミナル機能や行政サービス機能等を備えたものを中心に検討してまいります。
道路整備につきましては、国が推進するインフラ老朽化対策による舗装修繕計画に基づき、幹線道路網の整備促進や劣化・損傷した路面の補修、道路排水整備など長寿命化に繋がる道路環境の適切な維持管理・更新に努めてまいります。
橋梁整備につきましても、道路整備同様、計画的に予防保全を行うための個別施設計画に基づき、延命化や補修架け替え費用の縮減を図るため、定期的な点検を行ってまいります。
河川整備につきましては、近年、甚大な被害をもたらす自然災害に備えるため、河道内の埋塞土除去など防災・減災対策に取り組んでまいります。
町営住宅整備につきましては、住生活基本計画及び公営住宅等長寿命化計画に基づき実施しており、表町団地の整備については平成24年度からの事業が最終年を迎えますが、令和3年度は2棟8戸の建設を行ってまいります。
新栄団地の整備については、昨年度より調査設計等に着手しておりますが、既存の住棟25棟96戸の解体を継続しながら、令和10年度までに14棟56戸の建設を目指してまいります。令和3年度については1棟4戸の建設を予定しています。
また、修繕などについても、長寿命化対策を継続的に推進してまいります。
下水道事業につきましては、ストックマネジメント計画に基づき、施設の改築・更新を推進するほか、厚賀地区農業集落排水施設の機能強化に努めてまいります。
また、施設の適切な維持・管理等を行い、効率的・経済的な事業運営に取り組んでまいります。
上水道事業につきましては、重要給水施設配水管整備事業による耐震管への更新、水道未普及解消事業による庫富地区への上水道拡張を推進するほか、老朽施設の改築・更新を行ってまいります。
また、一層の経費節減と収納率の向上により経営基盤を強化するとともに適切な維持管理を行い、「安全」・「安心」・「安定」した給水サービスに取り組んでまいります。
日高地区の簡易水道事業につきましては、各施設の適切な維持管理を行い、安定的な水道水の供給に努めてまいります。
また、今後における地域の情勢や少子高齢化による人口減少により、一層の料金収入の減少が見込まれることから、料金改定を含む中長期の経営計画(経営戦略)を策定し、簡易水道事業の健全な経営に努めてまいります。
感染症予防対策として、国の新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に基づき、迅速かつ適切なワクチン接種の提供に努めてまいります。
また、新規事業として子育て世代包括支援センターを基盤とし、産後ケア事業・産婦健康診査事業に取り組み、健やかな育児ができるよう妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない総合的相談支援を提供してまいります。
地域福祉につきましては、子育て支援や高齢者、障がい者など、対象者ごとに必要な福祉サービスを提供するため、社会福祉協議会や民間事業者などと連携し取り組んでまいります。
また、各支援の町担当窓口をそれぞれ対象者ごとに集約することで、よりわかりやすく、きめの細かい対応を行うとともに確実な支援に繋げていくよう進めてまいります。
児童福祉につきましては、北海道室蘭児童相談所が苫小牧分室を開設し、身近になったことから、児童虐待の防止など、より迅速かつ適切な対応をはかるとともに各関係機関も含め、情報の共有や連携を進めてまいります。また、広域で運営しております子ども発達支援事業や、通所療育支援事業の在り方について引き続き検討をしてまいります。
子育て支援につきましては、第2期子ども・子育て支援事業計画で示された需要計画の維持及び確保に努めながら、子育て支援センターや保育所、児童館などにおける子育て支援体制を充実させ、安心して子育てできる環境づくりに努めてまいります。
子育て世帯における仕事との両立を支援するため放課後児童健全育成事業については、引き続き適切な運営に努めてまいります。
保育所につきましては、老朽化した町内施設の計画的な整備を順次進めておりますが、二葉保育所を整備するにあたり、富川ひばり幼稚園においても老朽化などにより幼稚園型認定子ども園の創設を検討していたことなどから、あらためて施設整備について協議してまいりました。
その結果、富川地区においては、幼児教育及び保育を一体とする民設での幼保連携型認定子ども園の創設が、少子化における保育の受皿を効果的に確保していく上でも適切であると判断いたしました。今後は、富川ひばり幼稚園が行う施設整備における費用負担など様々な支援を行い、安全で安心できる保育環境を維持してまいります。
高齢者福祉では、令和3年度から令和5年度までの新たな「高齢者保健福祉計画」及び「第8期介護保険事業計画」に基づき、高齢者が住み慣れた町で安心して暮らし続けられるよう、関係機関が連携し、地域包括ケアシステムの推進、介護予防、在宅福祉サービスの取り組みの一層の充実に努めてまいります。
また、認知症高齢者の理解促進に向けた認知症予防のための体制整備を進めるため、地域支援事業の推進、関係機関や町内会、老人クラブなど関係団体と連携した地域サロン活動や地域高齢者等の支え合い活動などを一層推進してまいります。
国民健康保険事業につきましては、特定健診・特定保健指導の実施率の向上に対し、国が交付金を割り当てる「保険者努力支援制度」が導入されており、町民の健康づくりに向けた取り組みがますます重要となっています。
生活習慣病や糖尿病等の重症化予防の取り組みとして、町内医療機関等との連携により、健康寿命の延伸と医療費の伸びを抑制することを目的とした各種検診等の受診勧奨を進めてまいります。
また、高齢者自らが健康のため、介護予防に取り組むことが重要なことから「自分の健康は自らが守り、つくる」といった健康管理意識を持つなど、健康づくり活動が日常のものとなるよう啓蒙してまいります。
門別国保病院につきましては、地域に根付いた医療機関として、安心して受診・療養できる医療提供体制の確保に努めるとともに、病院改革の取り組みにより、収入の確保に努め経営の安定と地域医療の充実を図ってまいります。
日高国保診療所につきましては、日高地区の医療機関として、町民ひとりひとりが安心して受診できるように、現状の医療体制を維持しながら経営の安定に努めてまいります。
また、引き続き「日高診療所だより」の発行など住民への情報提供の充実に取り組んでまいります。
富川国保診療所につきましては、門別国保病院と連携し、予防接種や検診事業・訪問診療などの充実を図り、経営の健全化に取り組み、地域医療の向上に努めてまいります。
防災対策につきましては、自主防災組織を主体とした活動を支援し、町民の自助・共助の意識向上に努めてまいります。
また、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に伴う津波、浸水想定に基づきハザードマップの更新を行い、災害時の情報伝達や避難態勢の確立を進め、災害に強い町を目指してまいります。
行政運営につきましては、新型コロナウイルス感染症対策にも対応しながら、限られた財源の中、持続可能な財政運営を目指すために各種施策や事業について、目的や費用対効果の検証、緊急性や必要性を精査した優先順位付け等を行い、効率的で効果的な執行を目指すとともに、事務事業の簡素化など経常経費についてもより一層の見直しに取り組んで行かなければなりません。
また、各公共施設については、老朽化による維持補修経費が増加傾向にあることから、必要な公共サービスを持続的に提供し続けていくため、中長期的な視点をもった公共施設個別施設計画に基づく適正な管理に取り組んでまいります。
令和3年度の予算編成につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により町税及び地方譲与税において大幅な減収となる一方、地方財政計画において地方が不足する一般財源を確保するため、地方交付税及び臨時財政対策債の発行可能額が増額されたところであります。当町におきましては、幼児教育・保育の無償化などの社会保障経費の増や学校給食無償化事業の継続、災害復旧事業に伴う元利償還金の増や既存施設の維持改修経費など、歳出予算の抑制が難しい状況ではありますが、各会計の予算編成は、限られた財源のもと財政の健全化を念頭に置きながら、第2次日高町総合振興計画の目指す将来像実現に向けた様々な施策や事業を盛り込んだところであります。
一般会計の予算規模につきましては、継続事業である静内対空射撃場周辺漁業用施設(水産物加工施設)設置助成事業で約3億8,000万円減少したものの、町道や公営住宅等の投資的事業や、新規事業として認定こども園施設整備補助事業及び保育所等整備補助事業、富川市街地活性化事業、軽種馬生産人材養成補助事業などを予算計上したことにより、歳出総額が108億500万円となりました。前年度との比較では3億2,300万円、2.9%の減でありますが、扶助費や公債費などの義務的経費が年々増加する中、基金や地方債などに依存する厳しい予算編成となったところであります。
以上、令和3年度の町政執行に臨む、私の所信を述べさせていただきました。
日本は、少子化などにより人口減少が続いており、とりわけ小規模自治体ではその傾向が顕著です。日高町もまさに例外ではなく、将来人口の推計にあるように、徐々に人口が減ってくことは避けられない事実として認識しなければなりません。
また、新型コロナウイルスは、私ども行政をはじめ、各方面に大きな影響を及ぼしており、これは当分の間続くという予想もあります。そうした状況にあっても、これからの町政運営においては「小さくても元気を失わないまちでいる」という信念を失わないよう肝に銘じていきたいと思います。
私の任期も残すところ1年余りとなりましたが、コロナ禍にあっても町政の各分野における課題への取り組みを着実に進めていくとともに、新たなまちづくりの核となる事業についても、しっかりとその道筋をつけてまいります。
町民の皆様、議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。