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令和2年日高町議会3月会議の開会にあたり、私の所信を申し述べさせていただき、町民の皆様をはじめ議員各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
全国的な人口減少と少子高齢化の波は我々の予想をはるかに上回るスピードで進行しており、国内で生まれた子どもの数が、統計を取り始めて以来初めて90万人を割り、また、死亡者数から出生数を差し引いた人口の自然減についても、初めて50万人台を超えたと公表されたところです。
人口減少・少子高齢化は、地方における経済活動の働き手不足や社会保障経費の増など、小規模自治体を取り巻く環境をますます厳しくしていくものであります。
日高町におきましても、人口減少とともに少子高齢化が進んでおり、かつて経験したことのない状況が続くことが予想されます。これからはこのような環境に対応し、持続可能な行財政運営を目指すとともに、真に必要な政策実現のために各種事業の取捨選択を行いながら、より安心して過ごせるまちづくりに向けて全力を尽くしてまいりますので特段の御理解を賜りますようお願い申し上げます。
次に町政を推進するための主な政策について、申し上げます。
農業につきましては、稲作・施設野菜・畜産・酪農・軽種馬産業と幅広い経営が展開されておりますが、TPP等の貿易のグローバル化が刻々と進展する中、地域においても多様な競争力を高める農業経営が必要な情勢でありますので、各種事業を有効に活用し、経営基盤の安定を図るとともに将来を見据えた農業経営のあり方について、農業者の皆さん、農業関係団体とともに築いてまいります。中でもかねてからの懸案事項である農業従事者の高齢化や後継者不足への対策につきましては、東京・札幌等で開催されるイベントで新規就農者を発掘するほか、国の制度等の積極的な活用や関係機関との連携を深めながら多様な担い手の確保・育成に努めてまいります。
有害鳥獣対策につきましては、引き続き日高管内で連携したエゾシカ・アライグマ等の有害鳥獣駆除の実施により、農林業被害の減少に努めてまいります。
ホッカイドウ競馬につきましては、令和元年度の開催において単年度の売上げが平成6年度以来、25年ぶりに300億円を超えるなど、好調な売上げで7年連続の黒字決算見込みとなりました。さらに今年は、地方競馬の祭典であるJBC競走の20回目の節目として創設される「JBC2歳優駿(JpnⅢ)」が門別競馬場で開催されますので、全国から多くの関係者や競馬ファンの来場が見込まれます。これを機会に、今後も日高管内の基幹産業である軽種馬産業を支える産地競馬としての体制をさらに強化していくために、北海道や関係機関と一体となって、より一層の活性化に努めてまいります。
林業につきましては、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林整備を計画的に実施し、人工林の持続的な更新を図るとともに、利用可能な資源については売り払いを視野に入れ、町有林の健全育成と森林機能の保全・活性化を図ってまいります。民有林整備については、未来につなぐ森づくり事業等を継続しながら、森林環境譲与税を活用して未整備森林所有者への意向確認や新たな地域材利用事業の検討を行い、森林所有者の森林整備意欲の増進を図ってまいります。
水産業につきましては、主要魚種であるさけ・ますの漁獲量低迷が続いていることから、安定した水産資源供給と漁業の健全な発展に資するため、水産資源の増殖事業を継続してまいります。
また、ひだか漁業協同組合が事業主体となり、令和元年度に着工しました「静内対空射撃場周辺漁業用施設設置助成事業」水産物加工施設の整備に対して引き続き必要な支援を行ってまいります。
商工業につきましては、昨年制定された日高町中小企業・小規模企業振興条例を基本に、町内商工業の大半を占め、地域経済の発展に重要な役割を果たしている小規模企業の振興を図るため、商工会と連携した具体的な施策を推進してまいります。
あわせて、プレミアム商品券発行事業などにより町内消費の拡大を図り、地域経済の活性化に努めてまいります。
観光振興につきましては、町内の魅力ある観光資源を再認識してブランド化を進めていくため、地域の観光資源を掘り起こす取り組みを行っていくとともに、観光情報の発信に努めてまいります。
また、むかわ町・平取町と連携し、一つのエリアとして広域的な観光振興に取り組んでいる「鵡川・沙流川WAKUWAKU協議会」事業は、地域の現状や課題、観光客のニーズを把握し、広域での観光行政の方向性を見いだす重要な取り組みであり、今後も積極的に取り組んでまいります。
地域公共交通につきましては、通学や通院の移動手段として地域住民の生活の足を確保するため、既存の生活バス路線、町営バス及び町が実施している各送迎事業などの利用状況を分析するなど、より利便性・効率性が良い交通体系の構築に取り組んでまいります。
また、平成27年1月から運休しているJR日高線につきましては、日高管内7町での協議を続けておりましたが、昨年11月に開催された町長会議におきまして、日高沿線の広域公共交通について、鉄道に代わり持続性があり、より利便性の高いバス路線の構築を目指すこととなりました。日高町におきましても、富川地区が広域公共交通のハブポイントと位置づけられておりますことから、まちづくりのための地域振興策を含め、利用しやすく、効率的な地域の公共交通確保に向けてJR北海道との個別協議を進めてまいります。
道路整備につきましては、国が推進するインフラ老朽化対策に基づき、個別施設計画の策定を進めるとともに、幹線道路網の整備促進や劣化・損傷した路面の補修、道路排水整備など長寿命化による道路環境の適切な維持管理に努めてまいります。
橋梁整備につきましても、国のインフラ老朽化対策に基づき、計画的に予防保全を行うための個別施設計画の策定を進めながら、長寿命化修繕計画に基づく法定点検を行ってまいります。
河川整備につきましては、近年、激甚化する自然災害に備えるため、河道内の埋塞土除去など減災対策を強化してまいります。
町営住宅につきましては、住生活基本計画及び公営住宅等長寿命化計画に基づき、表町団地の整備や新栄団地の新たな整備計画に着手するほか、修繕などの長寿命化対策を継続的に推進してまいります。
下水道事業につきましては、下水道施設個別の長寿命化計画に基づき、下水道施設の改築・更新工事を推進するとともに、引き続き下水道施設全てにわたるストックマネジメント計画の完成を目指してまいります。
また、下水道施設の適切な維持・管理等を行い、効率性・経済性を追求し、持続可能な事業運営に努めてまいります。
上水道事業につきましては、災害時にも強い水道施設を目指し、耐震管への変更を伴う重要給水施設配水管整備事業を推進するとともに、計画的な老朽施設の改築・更新を行ってまいります。
また、経費節減と収納率の向上に努め、将来に渡って安全・安心・安定した給水サービスを提供してまいります。
日高地区の簡易水道事業につきましては、管路の漏水調査、修繕により有収率の向上を図るとともに、浄水場における濾過砂の補充工事を行い、安全な水道水の供給に努めてまいります。
町民の皆様の健康維持につきましては、平成30年度に策定いたしました「日高町第3次保健計画」、「食育推進計画」、「いのち支える自殺対策行動計画」に基づき、各年代に対応した健康づくりをきめ細やかに取り組んでまいります。
また、新規事業として子育て世代包括支援センターを設置し、妊娠期から子育て期にわたる総合的相談支援を提供してまいります。
感染症予防対策につきましては、乳幼児の急性胃腸炎の予防のため「ロタウィルス感染症」が予防接種法の対象疾患に追加されることから、ロタウィルスワクチンの定期接種を実施してまいります。
地域福祉につきましては、子育て支援や高齢者・障がい者など、対象者ごとに必要な福祉サービスを提供するため、社会福祉協議会や民間事業者などと連携して取り組んでまいります。
また、民生委員児童委員協議会などへの活動支援も引き続き行ってまいります。
障害者福祉につきましては、障がいのある方が住み慣れた地域で自立した生活ができるよう自立支援給付事業等を通じて環境づくりを支援してまいります。
児童福祉につきましては、現在、広域で運営しております子ども発達支援事業や、通所療育支援事業の在り方についてニーズの把握に努めながら検討をしてまいります。
子育て支援につきましては、多様化する環境やニーズに対応するため、第2期子ども・子育て支援事業計画で示された需要計画の維持及び確保に努めるとともに、子育て支援センターや保育所、児童館などにおける子育て支援体制を充実させながら、安心して子育てできる環境づくりに努めてまいります。
また、学校給食の完全無償化により、子育て世代の経済的な負担軽減を図ってまいります。
保育所につきましては、老朽化した施設の整備にあたり、各地域の環境やニーズをしっかりと把握をするとともに、認定こども園など、私立幼稚園との関わり方についても考慮しながら検討してまいります。
放課後児童健全育成事業につきましては、その需要が確実に増えている現状から、学童保育を必要とする家庭を支援するため、今後も適切な事業運営に努めてまいります。
高齢者支援につきましては、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう「地域包括ケアシステム」の充実に向けた取り組みを継続し、高齢者個人に対する支援の充実とそれを支える社会基盤の整備・構築を「地域ケア会議」で協議するとともに、「地域支え合い推進協議体」において支え合い活動の普及を図ってまいります。
また、介護予防教室や認知症予防などを推進するとともに、自主的介護予防活動などを支援してまいります。
日高町の総人口に占める65歳以上の高齢化率は34.5%となり、今後も人口減少・少子高齢化が進む中、第8期介護保険事業計画の策定に取り組んでまいります。
国民健康保険事業につきましては、特定健診・特定保健指導の実施率の向上に対し、国が交付金を割り当てる「保険者努力支援制度」が導入されており、町民の健康づくりに向けた取り組みがますます重要となっています。
生活習慣病や糖尿病等の重症化予防の取り組みとして、町内医療機関等との連携により、健康寿命の延伸と医療費の伸びを抑制することを目的とした各種検診等の受診勧奨を進めてまいります。
門別国保病院につきましては、地域医療構想を踏まえ地域に根付いた医療機関として、安心して受診・療養できる医療提供体制を維持するとともに、引き続き病院改革の取り組みにより、収入の確保に努め経営の安定と地域医療の充実を図ってまいります。
日高国保診療所につきましては、経営シミュレーションを行った結果、入院病床を再開した場合は、さらに経営が厳しくなることが判明したことから入院病床の再開は断念することとします。今後は無床化による持続可能な医療体制とするために、さらなる経営の安定に努めてまいります。
また、町民ひとりひとりが安心して受診できるように、診療所の現状や診療体制等について、住民への情報提供を充実させてまいります。
富川国保診療所につきましては、医師の確保とともに健診等の受診者増に努めるなど、経営の健全化に取り組み、門別国保病院と連携し、地域医療の充実を図ってまいります。
防災対策につきましては、自主防災組織を主体とした避難訓練の支援により、町民の皆さんの自助及び共助の意識向上に努めてまいります。
また、土砂災害警戒区域に指定された地域のハザードマップの更新を行い、災害時の情報伝達や避難態勢の確立を進め、災害に強い町を目指してまいります。
行政運営につきましては、地方交付税などの一般財源が減少傾向にある厳しい財政状況の中、持続可能な財政運営を目指すためには、各種施策や事業について目的や費用対効果を検証するなど、より効率的で効果的な執行を目指すとともに、事務事業の簡素化など経常経費についてもより一層の見直しに取り組んで行かなければなりません。
また、本年度は、各公共施設を効果的・効率的に活用し、必要な公共サービスを持続的に提供し続けていくため、中長期的な視点をもって公共施設を総合的かつ一体的に管理し、更新・統廃合・長寿命化などの具体的な方向性を盛り込んだ個別施設計画を策定し、公共施設の適正管理に取り組んでまいります。
行政改革につきましては、組織機構や事務の見直しなどにより職員数の適正化を進めるとともに、施設使用料の改正や民間委託等について検討してまいります。
令和2年度の予算編成につきましては、日高町の主要な一般財源である地方交付税は、地方財政計画において2.5パーセントの増となっているところでありますが、これは昨年10月の消費税率改正に伴う経費の増、幼児教育・保育の無償化など、社会保障の充実が図られることによるものであり、町税を含む一般財源総額につきましては大幅な増収を見込めなく、引き続き厳しい財政状況となっています。このような中ではありますが、各会計の予算編成は、限られた財源のもと財政の健全化を念頭に置きながら、第2次日高町総合振興計画の目指す将来像実現に向けた様々な施策や事業を盛り込んだところです。
一般会計の予算規模につきましては、静内対空射撃場周辺漁業用施設(水産物加工施設)設置助成事業等の大型事業を予算計上したことや新たな会計年度任用職員制度などにより、111億2,800万円、前年度との比較では11億5,000万円、11.5%の増となり、扶助費や公債費などの義務的経費が年々増加する中、基金や地方債などに依存する厳しい予算編成となったところであります。
以上、令和2年度の町政執行に臨む、私の所信を述べさせていただきました。
先ほど予算案の概要で申し上げたとおり、地方行財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。こうした中にあっても元気を失わず進んでいくためには、町が抱える諸課題について、町民の皆さんの知恵もお借りしながら解決していくという姿勢が大切であり、そのためには現状を正しく理解していただくために丁寧な情報発信が必要となります。もちろん、すべての行政課題がこうした手法により対処できるわけではありませんが、町だけではなく組織を含めた多様な方々の参画は、そこに今までにはなかったエネルギーが出現するはずであり、ひいては「まちはみんなでつくる」という機運にも繋がるものと信じ、今後とも行政運営の基本姿勢としてまいります。
議員各位ならびに町民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。